左派連合が最大勢力に フランス下院選 逆転劇の背景は【WBS】
フランスで7日に行われた議会下院にあたる国民議会選挙の決選投票が締め切られた直後、左派連合の支持者は歓声を上げました。極右政党が優勢との事前予想を覆し、最大勢力となりました。 「現地パリには立花剛記者がいます。立花さん、逆転劇の背景には何があるのでしょうか?」(相内優香キャスター) 「当初は極右政党『国民連合』が最大勢力となると見られていたのですが、新聞では葛飾北斎の浮世絵をモチーフに、赤い波が来た、つまり赤を政党カラーとする左派連合が躍進し、『希望が生まれた』と伝えています」(立花記者) ヨーロッパ各地で極右政党が躍進する中で行われたフランス下院選の決選投票。フランスメディアなどによりますと、左派連合が182議席で、第1勢力に。マクロン大統領の与党連合が168議席。当初、過半数をうかがう勢いだった極右政党の国民連合は143議席にとどまりました。いずれの勢力も過半数に届かない見通しです。 極右政党の国民連合の躍進を阻止したのは与党連合と左派連合による“極右包囲網”。今回200以上の選挙区で候補者を一本化していました。 街の声を聞くと「安心している。極右が本当に政権を取る危険性があったから」「左派連合に投票した。選択肢が多くなかったから。極右よりは良い」といいます。 極右政党の躍進は防いだものの、第2勢力へ後退する見通しとなったマクロン大統領の与党連合。選挙結果の責任を取り、アタル首相は辞意を表明しました。 一方、第1勢力となった左派連合の最大政党「不屈のフランス」を束ねるメランション氏は「大統領はわれわれ『新人民戦線(左派連合)』に組閣を要請する義務がある」と語りました。 今後は多数派形成に向けた各勢力による連立交渉が本格化しますが、政策面での隔たりは大きく難航が予想されます。 「どの陣営も単独過半数に達しなかったということで、今後フランス政治はどうなっていくのでしょうか?」(相内キャスター) 「今回の選挙結果はフランスの政治の今後をより不透明にさせたと言えそうです。先ほど紹介した葛飾北斎の浮世絵を使った新聞は『希望が生まれた』と書いていたのですが、他の新聞を見てみますと、マクロン大統領の写真を使って『さて、これからどうしよう』と、今後の連立交渉に不確実性が増したという論調が数多く見られています。左派連合が想定以上に躍進したため、フランスメディアによると、選挙結果が出る前は国民連合と左派連合の一部、つまり極右と極左を排除した形での大連立案が浮上していたといいます。しかし、左派連合で強い影響力を持つ極左『不屈のフランス』は選挙終了後、左派連合が国を統治すべきだと述べるなど、既に与党連合との連立に否定的な考えを示しています」(立花記者)