マラドーナがユベントスから奪った「最も美しいゴール」――。決して交わることのなかった両者の運命【現地発】
「人生で2番目に素晴らしいゴールだった」
ユベントスなどのライバルを倒し、ナポリに二度のスクデットをもたらしたマラドーナ(左)。(C)Alberto LINGRIA
私がマラドーナを強く意識するようになったのは、1985年11月3日の、ナポリ対ユベントス戦からだった。 マラドーナはその前年からセリエAでプレーしていたのだが、この頃から彼はこの2つのチームの対戦をただのサッカーの試合から、社会的意味合いを持つ特別なイベントに変えてしまっていた。ナポリの庶民vsトリノのブルジョア。貧しい南イタリアvs裕福な北イタリア。そんな階級闘争に近い構図だ。 ナポリの人々は信じていた。ここでユベントスに勝つことができれば、こうした壁さえも打ち破れると。これはただ勝点を争うだけの試合ではないと。だからこそ、マラドーナは彼らにとって「選手以上の存在」だった。 ペナルティエリア内でナポリに間接FKが与えられ、ボールの前にマラドーナとエラルド・ペッチが立つ。ゴールを狙うにはあまりにも壁が近すぎで、たとえ直接ゴールに蹴ったとしても入れるのは難しい位置
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