“急所”の飲食中心の「緊急事態宣言」1か月で解除できるか?
飲食を中心とする今回の対策については、これまでのクラスター(感染者集団)解析によって、分かったことがベースになっていると説明した。 政府の分科会では昨年10月に「感染リスクの高まる5つの場面」を示しているが、そのうち▽飲酒を伴う懇親会▽大人数や長時間に及ぶ飲食、の2つが飲食に関連するものだと指摘。また解析によって、感染の広がりは、飲食が起点となって「時間差で職場に行ったり家庭に行ったり」しているとした。欧州の事例でもレストランを再開すると感染が拡大したデータがあるという。 尾身氏は「(主要な感染経路である)家庭内感染を防ぎたいが、(それは)食事を介しての感染の『結果』だと。そういう意味で重要」だと語った。
東京で「1日あたり約500人」が1つの目安
首相会見後に会見した西村担当相は、宣言の解除基準についてより具体的に言及した。 分科会は5日、東京を中心とする首都圏は「ステージ4」相当の対策が必要な段階に達したとの見解を発表。「可及的速やかに『ステージ3』相当にまで下げる」必要があると訴えた。さらに「緊急事態宣言の解除後の対策緩和は段階的に行い、必要な対策は『ステージ2』相当以下に下がるまで続ける」ことも政府に求めた。 西村氏もこの日の会見で「『ステージ4』は緊急事態宣言が視野に入るということで今回行うが、『ステージ3』相当になれば解除していく」と言明した。
分科会ではステージを判断する指標として、病床占有率やPCR検査陽性率など6つを提示している。「ステージ3」に下がったかを判断する際は、数値を機械的に当てはめるわけではなく、あくまで感染状況や医療のひっ迫具合などの「総合的な判断」(尾身会長)が重要だとしているが、西村氏は指標の一つである「1週間あたりの感染者数が10万人あたり25人」に注目する。 この指標を東京に当てはめると「1日あたり約500人」の水準となることから、「これが500人を切るかどうかが一つの目安になる」と語った。また宣言を解除した後も、すべての制限を一気に緩和せず「段階的に行う」とし、感染拡大防止の対策は「『ステージ2』相当以下に下がるまで継続する」と強調した。 ただ、この「1日あたり500人」は、11月末から12月上旬の東京の感染状況で、政府が「勝負の3週間」として集中的な対策を呼びかけていた時期の水準でもある。 西村氏は今回の緊急事態宣言に基づく措置は「飲食だけの対策ではないということもご理解いただきたい。その実効性を上げるために、飲食につながる人の流れを制限する、これも大きなポイントだ」と述べ、時短と同時に夜間の外出自粛やテレワーク徹底を求めていくと言い添えた。