石破氏「韓国戒厳事態、重大な関心を持って注視」…日本メディア「日韓関係が懸念される」
韓国の非常戒厳事態に対して石破茂首相が4日、「特段の重大な関心を持って注視している」と明らかにした。 石破首相はこの日午前、首相官邸で韓国戒厳事態について日本記者団からの質問に「他国の内政についてあれこれ申し上げる立場にはない」と述べた。強制徴用賠償金問題など日本との関係に前向きな姿勢を見せてきた尹大統領の去就を含めて、改善の流れに乗っていた韓日関係に及ぼす影響に神経を尖らせる様子だ。石破首相は「在留邦人に向けた注意喚起の領事メールを発出し、できる限りの対応を取っている」としながら「在留邦人の安全については引き続き万全を期していきたい」と説明した。 ◇石破首相の訪韓、難しい模様 石破首相は来年1月で調整中だったシャトル外交次元の訪韓調整に対する質問に「まだ何ら具体的に決まっているものではない」として線を引いた。だが、共同通信など日本メディアは外務省幹部の発言を引用して「今後状況によって影響があり得る」「微妙な状況」という雰囲気を伝えた。 橘慶一郎官房副長官もこの日の記者会見で韓日関係への影響を聞かれると「日韓は重要な隣国同士」とし「日韓関係全体の取り組みは情勢を注視しつつ適切に判断していく」と答えた。韓国戒厳事態に関連した国家安全保障会議を開催するかどうかについては「議長である首相に指示のもと総合的に判断したうえ、適切に開催する」としながら「会議の個別の開催スケジュールについては答えを差し控える」という原則的な回答にとどまった。 日本メディアはこの日一斉に1面トップ記事で尹大統領の非常戒厳宣言を伝えながら改善基調を見せていた韓日関係への影響を懸念した。読売新聞は「日韓両国は来年、国交正常化60年の節目を迎える」とし「来年1月には石破首相が訪韓し、韓国の尹錫悦大統領と首脳会談する方向で調整が進んでいるが、日程が変更になる恐れもある」と伝えた。また「国交正常化60年に合わせた関連行事も検討が進んでおり、戒厳令が水を差すことになりかねない」と報じた。 ◇日本側要人の訪韓、取りやめか 今月15日から16日まで1泊2日の日程で1年ぶりに訪韓しようとしていた菅義偉元首相も取りやめを検討していることが伝えられた。日韓議員連盟会長として尹大統領に会い、国交正常化60周年などに関して意見交換をしようとしたが、韓国の国内事情が急変し、事実上中止せざるを得ない状況だとしている。 防衛相の資格としては9年ぶりに初めて今月中に訪韓しようとしていた中谷元防衛相の日程も不透明になった。外務省関係者たちも夜を徹して韓国の状況を見守り、対策準備などに着手したという。韓国に居住する日本人が4万人余りで、今回の戒厳によって「不安」を感じる場合があるためだ。読売は実際に在留日本人や企業関係者たちの間に混乱が広がっていると報じたりもした。 読売は尹大統領の戒厳発表について「こうした手法が国民の支持を得られるかは不透明で、更なる混乱も予想される」と展望した。与党が4月の総選挙で惨敗を喫したうえに、尹大統領が金建希(キム・ゴンヒ)夫人を巡るスキャンダルなどで支持率が20%前後まで落ちた状況で任期2年を残した尹大統領の求心力が著しく低下しているという説明も添えた。公営放送のNHKも「韓国で非常戒厳が出されたのは1987年に民主化が宣言されて以降、初めて」と速報で伝え、「韓国国内は尹大統領の突然の発表に混乱が続いていて、事態が沈静化するかどうかは不透明」と展望した。 ◇韓国政治混乱長期化を懸念 韓日関係を専門とする慶応大学法学部の西野純也教授はこの日、中央日報の電話取材に対して、韓国政治混乱長期化に伴う韓日関係悪影響を憂慮した。西野氏は「昨年から進んできた日韓関係の改善は、尹大統領の強力なリーダーシップの下で行われたものだが、今回の事態で相当な影響を受けざるを得ない」と展望した。あわせて「今の状況では、韓国の政治混乱状況がすぐに収拾がつくのは難しそうだ」としながら「これを考慮すると、石破首相の訪韓はしばらく行われないものとみられる」と話した。さらに「来年1月トランプ政権の発足を控えて日韓が協力しなければならない状況だが、今回の事態で日韓協力が容易ではない状況に陥った」と懸念をにじませた。