上半期の「飲食業倒産」、過去最多の493件 淘汰が加速「バー・キャバレー」「すし店」は2倍に
2024年上半期(1-6月)「飲食業の倒産動向」調査
飲食業の倒産が増勢を強めている。2024年上半期(1-6月)の飲食業倒産(負債1,000万円以上)は493件(前年同期比16.2%増、前年同期424件)で、2年連続で過去最多を更新した。現在のペースで推移すると、年間では初めて1,000件超えとなる可能性も出てきた。 業種別では、「バー,キャバレー,ナイトクラブ」(前年同期比161.1%増)と「すし店」(同157.1%増)が前年同期の2倍以上に増加した。これらの業態では、繫華街の人流回復や好調なインバウンド需要の恩恵を受けている。だが、コロナ禍で傷んだ事業者は、財務改善や過剰債務の解消が困難なまま、人件費・光熱費などの上昇を受け淘汰が進んでいる。 「新型コロナウイルス」関連倒産は244件(同15.2%減)で、飲食業倒産に占める割合は49.4%と3年ぶりに5割を下回った。一方、食材やエネルギー価格上昇などによる物価高倒産は32件(前年同期比45.4%増、前年同期22件)、人手不足関連倒産は28件(同33.3%増、同21件)と、それぞれ集計開始以来の最多を更新した。 コロナ禍の収束で人流や客足が戻り、飲食業の集客や売上は回復傾向にある。だが、歴史的な円安による物価高やエネルギー価格の上昇、人件費高騰などが収益を圧迫している。コロナ関連支援策でひと息ついていた過小資本の飲食業者は少なくない。だが、客離れを懸念して、押し寄せる物価高への対抗策としての値上げ(価格転嫁)も十分に進まないなか、小・零細規模の事業者を中心とした飲食業倒産は、引き続き高水準での推移が見込まれる。 ※本調査は、日本産業分類の「飲食業」(「食堂,レストラン」「専門料理店」「そば・うどん店」「すし店」「酒場,ビヤホール」「バー,キャバレー,ナイトクラブ」「喫茶店」「その他の飲食店」「持ち帰り飲食サービス業」「宅配飲食サービス業」)の2024年上半期(1-6月)の倒産を集計、分析した。