上半期の「飲食業倒産」、過去最多の493件 淘汰が加速「バー・キャバレー」「すし店」は2倍に
飲食業倒産は493件、上半期は2年連続で過去最多を更新
2024年上半期(1-6月)の「飲食業」倒産は493件(前年同期比16.2%増)で、上半期としては過去最多となった。 コロナ禍の手厚い資金繰り支援で、飲食業者の倒産は大幅に抑制されていた。特に、各種支援策が浸透した2022年上半期の飲食業倒産は237件にとどまり、2005年以来、17年ぶりの200件台の低水準だった。 しかし、新型コロナの5類移行後は、コロナ関連支援の終了や縮小、ゼロゼロ融資の返済の本格化などに加え、コロナ禍で潜在化していた人手不足問題が再び浮上。人件費高騰も飲食業者の採算悪化に拍車をかけている。また、食材やエネルギー価格の上昇など、様々なコストアップが進み、人流回復による売上増加だけでは追い付かなくなっている。円安や物価高に収束の兆しはみえず、2024年は飲食業倒産が年間初の1,000台に乗せる可能性が高まっている。
業種別 バー,キャバレー,ナイトクラブ、すし店が急増
業種別の最多は「専門料理店」の123件(前年同期比32.2%増)だった。以下、「酒場,ビヤホール(居酒屋)」の98件(同8.8%増)、「食堂,レストラン」の97件(同11.8%減)と続く。 増加率の最大は、「バー,キャバレー,ナイトクラブ」の前年同期比161.1%増(18件から47件)だった。次いで、「すし店」の同157.1%増(7件から18件)、「持ち帰り飲食サービス業」の同52.6%増(19件から29件)の順。 コロナ関連倒産の構成比は、最大が「すし店」の77.7%(14件)で、唯一の7割だった。 また、飲食業の人手不足関連倒産28件のうち、7件(構成比25.0%)は「宅配飲食サービス業」で、配達スタッフの確保も課題になっている。
原因別 「事業上の失敗」が倍増
原因別では、「販売不振」が最多の430件(前年同期比22.8%増)だった。次いで、「事業上の失敗」が23件(同91.6%増)、「既往のシワ寄せ」が15件(同40.0%減)の順。 『不況型』倒産(既往のシワ寄せ+販売不振+売掛金等回収難)の構成比は90.2%(445件)で、上半期としては3年ぶりに9割を超えた。 自治体などの積極的な創業支援を背景に、飲食業は参入しやすい環境が続いているが、杜撰な経営計画により採算ベースに乗せることができないまま事業継続を断念するケースも目立つ。