「ありがとうブス、バイバイ」 容姿いじりが敬遠される時代、武器を捨てた尼神インター・誠子
ポケットには常に洗濯ばさみ
大阪を拠点に活動していた尼神インターは、2017年に東京進出を果たす。東京に出てきた当初は、空気の違いに戸惑うこともあった。 乳首に洗濯ばさみを付けて引き抜く「ノーリアクション乳首洗濯ばさみ」、お尻を当てて自転車のタイヤを止める「ノーリアクション自転車ケツ止め」といった誠子の体を張ったネタの数々が、大阪の観客にはウケまくっていた。しかし、東京ではその手のネタが全くウケなかった。 「乳首洗濯ばさみも最初はめっちゃ引かれて、本番ではカットされたりしていました。でも、やり続けていたら、明石家さんまさんが笑ってくれたんです。そこから徐々にウケるようになっていったので、やり続けるのが大事やなって思いましたね」 それらの芸もいまやテレビではほとんど見られなくなったが、舞台では相変わらず体を張る。バラエティー番組に出るときには常にポケットに洗濯ばさみを忍ばせ、振られたらすぐにできる準備を整えている。 「きれいな衣装を着させてもらってるときもありますけど、どんな衣装でも振られたら絶対やりますし、一応見せてもいいパンツははいてます。むしろ、ああいう芸に関してはきれいな衣装を着ていた方が振り幅が大きくて面白いというのはありますね」
第7世代の台頭に「焦りはない」
一方、最近ではお笑い第7世代が台頭し、「傷つけない」「体を張らない」芸が浸透。テレビで女芸人の特集が組まれるなど、若手女芸人の存在感も大きくなってきている。容姿いじりや体を張るネタで人気をつかんだ誠子に、焦りはないのか。 「焦りは意外となかったんですよね。私がデビューした頃なんか、劇場に女芸人が全くいなくて、20年ぶりの女芸人のレギュラーやったんです。だから逆に女捨てなあかんっていうのが強かったのかも。今は仲間が増えて心強いっていう方が近いです。女芸人はみんな戦友ですね。幼少期のコンプレックスをポジティブに変換した仲間ですから。特に第7世代に対しては、親心の方が強いです」