若手の胎動、子どもの笑顔が輝いた「ツアー・オブ・ジャパン」野島裕史&大会組織委員会委員長・栗村修「後半4ステージ」を振り返る
◆脅威の激坂、チャンピオンも“マンマミーヤ!”
野島:では、2つ目をお願いします。 栗村:「TOJのクイーンステージ、世界を驚かせた難易度!」ということで、複数日に渡って開催される自転車レースでは、一番厳しいステージや総合優勝を決めるステージのことを“クイーンステージ”と言います。「ツアー・オブ・ジャパン」では、それが富士山ステージで、そこには“ふじあざみライン”という悪名高き激坂があるんですよ。 野島:平均(勾配)が10%を超えているんですよね。 栗村:後半は特に酷くて、ずっと激坂が続いているんですけど、そこで優勝したのがJCL TEAM UKYOのジョバンニ・カルボーニ選手。第3ステージ・いなべに続く2勝目だったのですが、ここを制したことで総合優勝をグッと引き寄せる、そんな走りでした。 このカルボーニ選手は、先ほど話した「ジロ・デ・イタリア」の出場経験があります。そして、「ジロ・デ・イタリア」には“ゾンコラン”という有名な激坂の峠があるんですけど、彼は「(ふじあざみラインは)それを超える、世界でこんなにキツい登りはない」とまで言っていたんですね。さらに、終盤にはチームオーナーの片山右京さん曰く「マンマミーヤ!(なんてこった!)」と10回も言ったとか。 ここはフィニッシュ前のラスト50mくらいが一番つらいんですよ。もう(坂が)終わったかなと思ったら、とてつもない壁が最後にあって。それを見た瞬間のカルボーニ選手がまさにマンマミーヤって顔をしているんですよ。 野島:僕も登ったことがありますけど、激しく漕いでいると前輪が浮きそうになるんですよね。 栗村:“馬返し”っていうポイントがあって、そこはまさに馬もひっくり返る坂なんですけど、それがずっと続きます。「ジロ・デ・イタリア」を走ったことのある選手も驚いていました。 野島:これは世界に誇るといいますか、世界が嫌がるヒルクライムステージになっているということですね。 栗村:そうですね。こうしたことが選手間で広まって「ツアー・オブ・ジャパン」はアジア屈指の厳しいレースで、そこにモチベーションを持って若い選手が集まる。それがまさに新しいコンセプトですから、皆さんにどんどん広めていってほしいです。 野島:世界で話題になってほしいですね!