王者セブン‐イレブン 次なる闘い方
セブン‐イレブンをアメリカから日本へ持ち込んだ鈴木敏文。掲げたのは、日本の中小小売店をセブン‐イレブンで近代化し、活性化すること。当時増え始めた大型店の攻勢の中で、街の個人店が生き残る新たなビジネスとしての「コンビニ」だった。 そんなスタートだったからこそ、現在も全国のセブン‐イレブンの98.8%がフランチャイズ加盟店で成り立っているのだ。 入社以来20年、全国の加盟店を回り続けた永松。千葉市に若き日の永松が担当していた千葉おゆみ野中央8丁目店がある。 33年前にセブン‐イレブンのオーナーとなった孫山誠さん。子育てに忙しい奥さんの真以子さんと二人で必死に店を切り盛りしてきた。永松が担当していたのは、孫山さんが最も苦しかったという40歳の頃だ。 「父親が倒れて、子どもができて、にっちもさっちもいかない時で、今だから言えますが、セブン‐イレブンを続けられるかどうか……」(誠さん) 「親身になってやってくれました」(真以子さん) 競合が増えて売り上げが減っていく中、永松はコンビニビジネスの基本を丁寧に教えてくれたという。 「一緒に考えて、一緒に答えを探す。トップダウンで『ああしろ、こうしろ』と言う方もいたんです」(誠さん) 「笑顔で柔和な感じで厳しいことをおっしゃるので、逆に胸に響きました」(真以子さん) 孫山さんは現在、3店舗のセブン‐イレブンを経営するまでになった。 永松は加盟店に寄り添うことで、セブン‐イレブンのビジネスを広げていった。
千葉・市原市の五所店を切り盛りするのはオーナー夫婦の平野晃さん、絹恵さんだ。 「父と母が始めて、私が17歳の時にオープンしました」(絹恵さん) 平野さんは2代目。母親の辻井喜代子さんが始めた店なのだ。 「肉屋だったんです。スーパーができはじめて『このままじゃダメじゃない?』と言って、セブン‐イレブンを始めました」(喜代子さん)