王者セブン‐イレブン 次なる闘い方
喜代子さんが嬉しそうに紹介した若い店員が孫の平野羅莉さん。最近、働き始めて、親子三代のセブンになろうとしているのだ。 「地域に愛される店を続けていきたいです」(羅莉さん) 時代に生き残る店を、いかに作るのか、本部と加盟店のタッグがその強さを支えている。
絶品スムージー急拡大の理由~なぜセブンの弁当容器は白い?
セブン‐イレブンの最近の大ヒットといえば、コーヒーマシンの隣にあるスムージー。凍らせた食材が入ったカップをマシンにセットすれば作りたてが味わえる。2023年3月から展開を開始し、すでに2600万杯を販売。冬になっても好調に売れている。
スムージー導入には「食品ロスの低減につなげる」(佐坂真由実)という狙いがあった。セブン‐イレブンの弁当の製造で廃棄していたブロッコリーの茎などを、丁寧に処理して有効利用しているのだ。
セブンのエコ戦略は店内のよく見る商品でも。例えば、最近増えている白っぽい弁当の容器は「石油由来のインクを削減した環境配慮型の容器」(サステナビリティ推進室・吉田希美枝)。今まで色をつけていた容器をインクを使わないものに変更。この取り組みを全国で行うことで、年間のCO2排出量が800トンも削減できるという。 さらに改良したのがカップデリのふた。ふたをシール方式に変えることで、大幅にプラスチックを減らせるのだ。 「ゴミが減ると焼却時のCO2削減にも寄与できると思います」(吉田) 日々、膨大な量が消費されるセブン‐イレブンの商品だからこそ、その効果も絶大だ。
埼玉・三郷市の三郷彦成2丁目店を訪ねると、店の壁にはまだ珍しい最新型の太陽電池がいたるところに設置されていた。驚いたのは、「リコーさんと取り組んでいる『ペロブスカイト』です」(建築設備本部エネルギー部・藤澤知子)。日陰でも発電できると世界が注目するペロブスカイト太陽電池まであるのだ。 太陽電池パネルは売り場の中にも。室内のLED照明でも発電できる特殊な太陽電池だという。さらに電気を大量に使うオープン式のショーケースは、前面に3重のエアーカーテンがある最新式で、中の冷気が店内に逃げないという。 「冷気のカーテンがあるイメージで、冷気が漏れないので中の温度が保たれ、省エネ、電気使用量が少なくて済みます」(藤澤) そんな徹底的な省エネ対応を行いながら、店舗や駐車場の屋根の上にも巨大な太陽光パネルをびっしり設置し、「再エネ率は50%を超える日もあり、店の大部分の電気を発電した電気で賄っている」(藤澤)と言う。 ちなみに、日中発電して余った電力はキューブ型の蓄電池にためて、夜間に利用することまでできる。可動式なので災害時にも出動可能だ。 「次のステップとしては他の店でも水平展開させていくことを目標にしています」(藤澤) 便利とおいしさの裏で、セブンは未来へ向けた本気の環境戦略も行っている。