王者セブン‐イレブン 次なる闘い方
セブン本部vs加盟店~信頼関係を取り戻す闘い
2023年6月22日、セブン‐イレブンが開いた加盟店向けの非公開イベント「オーナー懇親会」。千葉市・幕張メッセの巨大な会場を特別に取材させてもらった。 映像では「50周年おめでとう」という岸田総理からの直々のメッセージが。そして関東エリアを中心に集まった2500人のオーナーを前に、永松が口を開いた。 「就任以来、加盟店とのコミュニケーションを大切にして参りました。今回、16年ぶりに開催できることをうれしく思っています」 長い間、行われなくなっていた懇親会を永松は再開した。「最も大切なことは加盟店オーナーとのコミュニケーション」と言うほど永松が加盟店との関係を重視する背景には、ある事件があった。 2019年、あるセブン‐イレブンの加盟店が人手不足から、24時間営業をやめ、時短営業を強行。これに一部の加盟店が同調し、セブン‐イレブン本部へ異を唱える動きが広がった。 「加盟店がこんなに苦しんでいる。これはおかしくないか。24時間体制のビジネスモデルが限界にきている」(加盟店オーナー、2019年当時の映像) さらに2019年、加盟店で働くスタッフの残業代の一部が長期間未払いだったことも発覚。加盟店との信頼関係を失う事態が、社長就任直後の永松を次々と襲った。 「創業して45年経ち、大きく環境が変わる中、我々自身が変わってこられなかったのが、一番の問題だと認識しています」(永松) その後、永松は24時間営業の新たな枠組みを作るなど、時間をかけ、加盟店との関係改善に注力し続けてきた。そんな永松の念願が、長年中止されていた加盟店との懇親会の再開だったのだ。 「うれしい」 永松の熱いスピーチが終わると会場に大行列ができた。セブン‐イレブンの加盟店オーナー一人一人と永松が記念写真を撮り始めたのだ。「社長があれだけ熱く語るのにびっくりした。安心して帰れます」「やめようかなと思った時もありますが、やっていて良かった」「一緒に頑張っていこうとあらためて感じました」……会場ではそんな感想が聞かれた。 セブン‐イレブンの創業の原点は加盟店にある。東京・豊洲にあるセブン‐イレブンの国内1号店。オーナー山本憲司さんはもともと酒の販売店を営んでいた。 「酒屋でしたが、新しいことをやりたいという気持ちが強かったので、後戻りはできなかったです」(山本さん、2009年の映像)