王者セブン‐イレブン 次なる闘い方
地域の食材を使った商品を地域ごとで販売する地産地消のものづくり。茨城・水戸市のオフィスで行われていた試食会では、地元主導で作った商品が並べられていた。茨城ではお馴染みの味わい「れんこん入りつくね」に、「フラガールトマト」はカプレーゼの「カップデリ」になっていた。 リーダーの商品本部北関東地区MD統括部チーフマーチャンダイザー・向坂剛は「食べるまでに時間がかかるので、タレの粘度を硬めにしたほうがいい」と言う。持ち帰った後も、ジェノベーゼソースがカップの底に流れてしまわないよう、ソースの粘度までチェック。セブン流の厳しい商品づくりだ。 地産地消の戦略で地元の協力メーカーの意識も高まっていた。 「地元の食材を使うと、『うちの食材を使ってくれる』と紹介してもらえる。地元の食材を使って地元を盛り上げたい」(「美野里デリカ」取締役・中村諭さん) 長年、本部が開発した商品が主役だったセブン‐イレブンが挑む地域戦略だ。 茨城・結城市の結城50号バイパス店を訪ねると、そこには「カップデリ」だけでなく、地元の食材を使ったさまざまな商品が並んでいた。客からは「買おう、となる」「地域のものを選びたくなる」との声が。地域を活性化し、セブンのファンも増やしていた。
そんなセブンの新たな戦略を次々と立ち上げてきたのが、セブン一筋43年、セブン‐イレブン・ジャパン社長の永松文彦。忙しい出張のちょっとした合間でも、地元店舗の見学を欠かさない。 「それぞれのお店で工夫して『なるほど』といういい点は、横へ展開することも考えます」(永松) 若き日の永松は、福島近隣の店舗を本部の相談員として回っていた。 「25歳の時は会津若松で経営相談員をやっていました」(永松) セブンの店内はすっかり様変わりしたという。 「その頃は茶碗や箸なども売っていました。隔世の感があります」(永松) 1980年に入社した永松は4年前、セブン‐イレブンを率いるトップに就任。次の50年を見据えた改革を矢継ぎ早に実施し、「7NOW」や地産地消戦略など、それまでのセブン‐イレブンでは考えられなかった新たな戦略を推し進めてきた。 「これからも進化し続けることが我々の仕事です」(永松)