王者セブン‐イレブン 次なる闘い方
2800の商品が30分で届く~便利すぎる「7NOW」とは?
セブン‐イレブンが始めたアプリで商品を選ぶ宅配サービス「7NOW」。取り扱うのは店内にある約2800の商品。最短30分で届けてくれる。 2023年9月、アプリでのサービスを開始。現在は東京や北海道など9000店舗だけで展開しているが、全国展開へ向けて一気に動き出している。2024年度中には全国の店舗で展開を目指すという。
栃木・宇都宮市では近隣のセブン‐イレブンのオーナーが「7NOW」の説明会に押し寄せていた。だが、話を聞いた加盟店オーナーからは「実際に注文がどのくらい入るのか」「通常でも店舗業務に追われているのですぐに対応できるのか」と、不安の声が聞かれた。 栃木県で宇都宮細谷店を経営するオーナー・大塚さん夫婦が、「7NOW」を導入した東京・新宿区の新宿中落合3丁目店に見学にやってきた。 さっそく専用の端末に客からの注文が。あとは画面を見ながら次々と店内の商品をピックアップするだけ。揚げ物などは注文が入ってから揚げて、出来たてを届けるという。 大塚さんは「田舎なので件数がどれくらいあるか」などと、導入の不安を同店のオーナー、植松正和さんにぶつけてみた。 「店頭に来られるお客様より、『持ってきてくれ』というお客様のほうが注文単価は高い傾向があります」(植松さん) 結局、不安はありながらも大塚さんは、「7NOW」の導入を決断した。 「コーヒーマシン導入の時も、最初は『お客さんが作るのはどうなの?』と思っていましたが、今は『何を買う?』と聞くと『コーヒー』と言って入っている。実際にやってみたら正解だった。『ぜひ頑張ってやっていきたい』という気持ちになりました」(大塚さん)
バカ売れ総菜「カップデリ」~続々!地域限定、魅惑の味
今、セブン‐イレブンの店内で拡大中なのがカップ総菜。デパ地下の総菜を意識した野菜が豊富な「カップデリシリーズ」だ。発売6年で売り上げは8倍になり、1日100万個を売る。その新戦略も動き出していた。
セブンの商品開発担当者たちがやってきたのは福島・いわき市の生産農家「ワンダーファーム」。作っているのは細長いミニトマト、地元のブランド「フラガールトマト」だ。 「果肉が厚い品種です。サクッとした食感の後に甘味が口の中に広がる」(「ワンダーファーム」代表・元木寛さん) セブン‐イレブンの「カップデリ」のために大量に栽培を始めたと言う。これこそ、セブンが初めて挑む地域戦略だ。 「2023年度から各県ごとに『地域フェア』をやっています。地元で作った原材料を使った商品を地元のセブン‐イレブンで発売することで、お店も腰を入れて販売することができるのではないか、と」(商品本部・上野雅史)