「地震で全部壊れたからこそ、新しいことできる」 33歳〝塗師屋〟が語る輪島塗の未来
(木津悠介)
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誰にとっても、困難や挫折あるいは歓喜、それぞれの転機となった「あの日」があるはずだ。新しい1年の始まりにあたり、「あの日」から前を向いて歩む人たちを取り上げる。
輪島塗
石川県輪島市で生産される漆器。漆の光沢、蒔絵の優美さに加え、耐久性にも優れる。国の重要無形文化財、伝統工芸品。専門の職人が分業し、100以上の工程を経て一つの漆器をつくる。輪島では室町時代には漆工業が発展していたとされ、現存する最古の輪島塗は、同市内の重蔵神社に保存されていた「朱塗扉」で、大永4(1524)年作。昨年元日の能登半島地震後は金沢市内の博物館で保管されている。