「103万円の壁」撤廃で業績アップが期待される会社【坂本慎太郎の街歩き投資ラボ】
『週刊プレイボーイ』で連載中の「坂本慎太郎の街歩き投資ラボ」。株式評論家の坂本慎太郎とともに街を歩き、投資先選びのヒントを探してみよう。金のなる木はあなたのすぐ近くに生えている! 【図表】クラウドワークス株価の値動き 今週の研究対象 103万円の壁(クラウドワークス) 衆院選以降、「103万円の壁」が話題になっている。「国策に売りなし」の相場格言に従って、103万円の壁が撤廃されたら儲かる会社を考えた! 助手 選挙後、「103万円の壁」っていうのが話題ですね。人手不足解消につながるって聞きました。 坂本 確かにその可能性もあるね。年収が103万円を超えると所得税が発生する。だから、年末になるとバイトやパートのシフトを減らして年収103万円未満に抑えようという人もいる。それが103万円の壁です。所得税が発生する額を引き上げれば手取り額が増える上、働き控えをしなくて済む。人手不足解消に効果があるかもしれないってこと。 助手 なるほど。であれば、投資先としてスキマバイトのタイミーなんてどうですか? 働ける時間が増えて、バイトを探す人も増えるかと! 坂本 同社はまだ上場間もないから、まだ様子を見てからでいいかな。それよりも、プロの副業や本業化まで対応できるクラウドワークスのほうが面白い。103万円の壁に限らず、副業や人材の流動性を高めて人手不足を解消する流れは加速するはずだから。国策など、大きな流れに乗るのは投資で大切なことです。 助手 バイトやパートに的を絞らないほうがいいと。ところでクラウドワークスってなんの会社でしたっけ? 坂本 求職者と求人企業をマッチングするプラットフォーム『クラウドワークス』を運営する企業です。既存の求人サイトと違うのは、登録しているクラウドワーカーが単発の「案件」に応募することだね。発注者はワーカーに評価をつけることができるから、高評価が集まった人は良い案件に採用されやすくなる。 助手 ん? タイミーと同じでは? 坂本 いや、案件の種類と豊富さが違う。同社は飲食店など現場に出向くスキマ「バイト」がメイン。一方、クラウドワークスは簡単なデータ入力から、ITエンジニアなど専門家向けの高単価案件までそろってます。 助手 バイトしたい人から副業したい人、フリーランスまで広く活用できるってことですね。 坂本 そう。だから人手不足解消系の国策の追い風を余すところなく享受できるはず。でも、もっと重要なのは国内最大級の就業プラットフォームだってことです。案件を出す企業数は約99万社、登録ワーカー数は650万人超にもなる。プラットフォームビジネスは、利用者が多ければ多いほどサービスとしての価値が高まるんです。「たくさんの案件が載ってるなら、自分向きの仕事が見つかるだろう」とか思うでしょ。 助手 確かにそんな気がしますね。 坂本 だから勝者総取りのような状態になる。実際、他の人材系プラットフォームは登録者を集めるために多額の広告費が必要なんですが、クラウドワークスは広告費ナシでも企業とワーカーが増えているんです。 助手 それはすごい。 坂本 同社の優位性はまだある。人材エージェントも手がけてるんです。 助手 エージェントって? 坂本 クラウドワークスに登録したワーカーの中から、評価の高い人や案件の特性にマッチしている人を、手数料を取って企業に紹介するんです。今どんな案件にニーズがあるのか、どの人が優秀かなどは自社のプラットフォーム上にデータがあるから、他の人材エージェントよりも断然有利です。クラウドワークスは高い手数料を得られ、ワーカーは長期で高単価な優良案件に参加できる。全員が得をする仕組みですよ。足元の業績は4期連続の増収増益。配当や株主優待もあるし、人手不足解消に向けた国策の追い風を期待して、長期で持つと面白いと思いますよ。 今週の実験結果 「広告費を使わずに拡大する人材プラットフォーム」という仕組みはお見事です! 構成/西田哲郎 撮影/榊 智朗