「マスク帝国」にほころび-テスラ投資家、6社束ねる経営手法を懸念
テスラにおける最高幹部の一人であるオミード・アフシャール氏はテキサス州で「ギガファクトリー」プロジェクトのリーダーを務め、スペースXでも重要な役割を担っている。
また、ニューラリンクのオペレーション・特別プロジェクト担当ディレクター、シボン・ジリス氏は、テスラでAIプロジェクトに携わっていた。彼女はマスク氏の子どもたちの母親でもある。
資金管理者であるジャレッド・バーチャル氏は、スペースX投資の資金調達担当として複数の役割を担っているにもかかわらず、法人登記書類にはニューラリンクの執行役員として記載されている。同氏はまたXのビジネス取引について助言を行い、マスク氏の非営利財団を運営している。
「マスク氏は定期的にテスラの経営資源を使って、自分が所有する他の会社のプロジェクトに取り組んでいる」と、マコーミック判事はマスク氏の報酬パッケージを却下した判断の中で説明した。
デラウェア州裁判所の判断によると、スペースXの取締役で元テスラ幹部のアントニオ・グラシアス氏は、個人的に、また同氏の会社のために、数十億ドルを手にしている。
テスラの報酬委員会を率いるベンチャーキャピタリストのアイラ・エーレンプレイス氏はテスラとスペースXへの直接投資で数億ドルを稼いだだけでなく、マスク氏の企業帝国とのつながりを利用して自分の会社向けに資金を調達している。
ツイッター買収
自らの企業帝国全体に経営資源を配置するマスク氏の傾向は、恐らく440億ドルでツイッターを買収した際、最も顕著に表れた。
同氏は2022年10月、サンフランシスコにあるツイッター本社にグラシアス氏を連れてきた。同氏は全社的な人員削減の実施を支援。トンネル掘削のボーリングで社長を務めるスティーブ・デイビス氏はツイッターの経費削減に集中するあまり、家族をオフィスに呼んだ。
マスク氏の弁護士を長年務めるアレックス・スピロ氏は法務・ポリシーチームにアドバイスし、バーチャル氏もそこにいて、ツイッターのビジネスと経営陣の移行を監督していた。