「自死遺族が話せる場所に」宮本さんが市民団体立ち上げ 三重・松阪
自らも妹を亡くす 苦しみ分かち、生きる力に
自らも妹を自死で亡くした三重県松阪市嬉野野田町の看護師・宮本みかさん（46）が、自死遺族の人生を支えるコミュニティ「Rprecious（リプレシャス）」を立ち上げ、9日午前10時から松阪市本町の市産業振興センターで発足記念集会を開いた。遺族ら約10人が参加して、同団体の考えを共有した。
今後「いのち学ぶ会」なども予定
同団体は、家族や大切な人の自死により、苦しい気持ちを抱えている遺族が、生きる力を取り戻し、人生の軌道修正をするためのコミュニティの場として発足。松阪市を中心に、遺族同士が思いを話す「分かち合い」の場の提供や「いのちを学ぶ会」など、イベントや講座を通して活動していく。 3姉妹の宮本代表は22歳の時に、19歳の次妹を亡くした。高校時代から不登校で、「しんどい」と引きこもっていた妹を、外へ連れ出すなど社会とつながれるように積極的な声掛けをしていた。 妹は亡くなったが、職場には自死であったことを言えなかった。そんな中で、宮本さんは「（ひきこもりは）気持ちの持ちようとして受け入れられなかった。私の思いが妹を追い詰めた。私が死なせた」と後悔と罪悪感の苦しい毎日を誰にも話せず過ごしていた。 8年後、自死遺族と会う機会があった。自己開示して気持ちを分かり合えたことで「私だけじゃない」と救われた。次第に気持ちも落ち着き、SNSでメッセージを発信したり、自死遺族とチャットで交流するなどの中で、今なら何かできるかもと同会を設立した。 この日、宮本さんは団体名について、precious（プレシャス）は「最愛の」という意味があり、妹の頭文字と元の状態に戻す意味のRをその前に付けて団体名にしたと説明。「遺族になると自分のことを大切に思えなくなる。本来の自分に戻るためにできることがあるよ、自分を大切にして、と伝えたい」などと話した。 その後、心と体はつながっており、深呼吸することでリラックス効果やストレス解消などになるとして、参加者らで一緒に深呼吸を行った。 また、「分かち合い」の場では安心安全な空間にするため、▶他言しない▶人と比べなくてよい▶アドバイスしない▶教え諭そうとしない▶批判しない――などのルールも確認した。 宮本さんは「自死遺族の方の心に寄り添い、人生を取り戻す手伝いができれば」と話している。 第1回の分かち合いの会は11月17日午前10時から正午まで、嬉野中川新町三丁目の中川新町地域交流センターで行われる。参加費500円。対象は自死で大切な人を亡くした人に限定する。 問い合わせと申し込みは宮本代表、メール（rprecious202406@gmail.com）かLINE（https://line.me/R/ti/p/@310hduld?from=page&accountId=310hduld）へ。
