決勝T進出へ錦織に味方するハードコート
1グループ4人のうち半分が決勝トーナメントに進めるのなら、3試合のうち2勝すれば大丈夫だろう、と単純に考えがちだが、そう甘くはない。錦織圭のおかげで突然日本でも騒がれ始めたテニスのツアーファイナルズのことだ。出場選手8人が2グループに分かれて争われているグループリーグは佳境。錦織も今、非常に大事な局面を迎えている。 ラウンドロビン3試合のうち2試合を終えた錦織は1勝1敗。初戦でアンディ・マレーに勝ったが、次はロジャー・フェデラーに敗れた。残すはミロシュ・ラオニッチとの一戦だ。24歳の錦織と23歳のラオニッチはともにツアーファイナルズ初出場。 今年はラオニッチが錦織より先にウィンブルドンでグランドスラムのベスト4入りを果たせば、次の全米オープンで錦織がそれを上回る決勝進出を果たした。〈ビッグ4〉の次の世代を引っ張るライバル同士へのテニス界の期待は大きい。さらに躍進したフレッシュな二人の対決が、このグループBの順位の行方を左右する。 対戦成績は錦織の4勝1敗。唯一の黒星が今年のウィンブルドンで、錦織は球足の速い芝でラオニッチ最大の武器である高速サーブを崩すことができなかった。 4勝のサーフェスの内訳はハード3勝、クレー1勝で、ツアーファイナルズの会場は室内ハードコート。ハードコートの中でも遅めのサーフェス(床)だということは、錦織も含めて他の選手たちも指摘している。 ビッグサーバーのラオニッチがここまでフェデラーとマレー相手にセットも取れずに連敗している要因の一つは、サーブが存分に生かせないサーフェスのようだ。リターンからの攻撃が持ち味の錦織にとっては、ラオニッチ戦でこのサーフェスが味方になってくれるに違いない。 いくらサーフェスが遅いとはいってもラオニッチがサーブの確率を戻してくれば、リターン巧者の錦織もそう簡単にブレークはできないだろう。まずは自分のサーブをしっかりキープ。そのためにはこの2試合で目立ったダブルフォルトは減らし、サーブからリズムを作って得意のリターンゲームでラオニッチのサーブにプレッシャーをかけていきたい。