決勝T進出へ錦織に味方するハードコート
いくらサーフェスが遅いとはいってもラオニッチがサーブの確率を戻してくれば、リターン巧者の錦織もそう簡単にブレークはできないだろう。まずは自分のサーブをしっかりキープ。そのためにはこの2試合で目立ったダブルフォルトは減らし、サーブからリズムを作って得意のリターンゲームでラオニッチのサーブにプレッシャーをかけていきたい。 そこでもしフェデラーが勝てば、フェデラーが3勝でマレーが1勝2敗となり、錦織はすんなりと2位で準決勝に進むことができる。だがマレーが勝てば複雑だ。フェデラーとマレーと錦織の3人が2勝1敗で並ぶことになる。その場合は全試合でのセット獲得率がまず考慮され、それでも勝負がつかなかった場合はゲーム獲得率で順位が決まる。 つまり、後のことまで考えれば錦織が自力でできる最大のことはラオニッチに6-0 6-0で勝つことだが、あまり現実的でない話をしてもしかたがない。なるべくゲーム差をつけてのストレート勝利、というくらいが適切だろう。 実際のところ、ゲーム差はともかくストレート勝ちならば、マレーがフェデラーに2-0で勝たない限り錦織はフェデラーに次ぐ2位になれる。マレーとフェデラーの対戦成績は11勝11敗の五分で、今季はフェデラーの2勝とはいえマレーがストレート勝ちする可能性も決して低いとはいえないのだが、1セット落とすだけでも準決勝への道が閉ざされるとなると、マレーにはかなりのプレッシャーがかかるだろう。 それでもなおマレーがストレート勝ちした場合は、錦織、フェデラー、マレーの3人がゲーム獲得率で1位と2位を争う。そうなると、錦織がフェデラーに3-6 2-6であっさり負けたことが響きそうだが、それもまた今言ってもしかたのないこと。ラオニッチ戦に目を向けよう。 ポイントはやはりあのサーブをどう攻略するか。なお、ラオニッチもまだチャンスが完全に消えたわけではない。「サーブとアグレッシブなプレーで自分が主導権を握ることがカギ。この2試合ではそれがうまくいかなかったけど、修正して臨みたい」という言葉通り、微かなチャンスを心から信じているならば、必死でくる。