米401kにみる「TDF」や「マネージドアカウント」の活用、新NISAの積立投資との大きな違い
8月に入ってからの日米株価の波乱には、多くの投資家が肝を冷やしたことだろう。幸いにして株価の急落は収まったかのように見えるが、長期に資産運用をしていくと、今回のような急落場面に遭遇することは避けられない。そのような波乱を乗り越えていくためには、その心構えと、耐えうる以上の資産価値の目減りを防ぐような工夫が必要だ。長期の資産形成について多くの経験を積んで、多くの成功事例がある米国の企業型確定拠出年金(401kプラン)について、フィデリティ・インスティテュート首席研究員の浦田春河氏がレポートを発行した。一般の資産形成のヒントにしたい。
浦田氏は、近年の米401k市場において、デフォルトファンド(指定運用方法)にターゲットデートファンド(TDF)を採用することが標準化しており、新規掛け金の6割、資産全体の4割がTDFによって運用されていることを紹介し、新しい動きとして「マネージドアカウント」を導入する動きが強まっているとレポートしている。
「マネージドアカウント」とは、加入者一人ひとりの状況に応じて最適な運用商品をラインナップの中から選び、配分比率も決めて運用してくれるサービス。ファンドラップのような運用ポートフォリオを加入者一人ひとりの実情に応じて組み立ててくれるサービスになっており、加入者が結婚や子供の誕生など環境が変化すると、その情報に応じてポートフォリオの内容も変更される。加入者は、自身の生活の変化について四半期、ないしは、結婚などの変化があった時に情報をインプットするだけで、運用資産はプロの判断のもとで最適なポートフォリオに組み直して運用が継続されるようになっている。
このサービスの利用については、資産残高に応じた手数料が新たにかかるが、運用商品の選択と配分比率の決定を専門家に任せることによって加入者は、運用に関係する時間とエネルギー、ストレス等を軽減できるようになり、コストを負担してでも「マネージドアカウント」を利用する人が一定の割合で存在するという。実際に「マネージドアカウント」の利用者にアンケートをすると、「お金に関するストレスが軽減された」(31%)、「運用リターンが高まった」(18%)などとプラスの評価が少なくない。