腰椎分離症の初期症状はご存じですか? なりやすい人の特徴・予防法も医師が解説!
小学校高学年から高校生くらいの時期に発症することが多いとされる「腰椎分離症」。治療の開始が遅れると、腰痛や下肢のしびれなどの後遺症が残ることもあり、注意が必要な疾患です。 腰椎分離症になりやすい人や心がけたい予防法などについて、「まつど西口整形クリニック」の後藤先生に解説していただきました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
腰椎分離症とは?
編集部: まず、腰椎分離症について教えてください。 後藤先生: 一般的に、スポーツのやりすぎによって、腰の骨に炎症や疲労骨折が起こる疾患です。中学生くらいのスポーツ選手に発症しやすいとされています。中学生くらいの成長期の子どもは骨が未発達であるため、それくらいの時期の子どもがなりやすいですね。 編集部: なぜ、疲労骨折が起きるのですか? 後藤先生: ジャンプや腰をねじる動きなどを繰り返しおこなうことにより、腰椎に負荷がかかって疲労骨折してしまうと言われています。疲労骨折になりやすいのは、特に第5腰椎です。 編集部: 第5腰椎とは? 後藤先生: そもそも、腰椎は「椎骨」と呼ばれる骨が5つ連なった状態で構成されています。第5腰椎は、上から5番目の椎骨です。 編集部: 椎骨について、もう少し詳しく教えてください。 後藤先生: 椎骨はリング状になっており、前方は「椎体」、後方は「椎弓」「上関節突起」「下関節突起」「横突起」「棘突起」からなります。 腰をねじったりジャンプしたりする動きを繰り返すと、椎弓に負担がかかって骨が炎症を起こします。すると骨にひびが入り、疲労骨折を起こしたり分離したりしてしまうことがあるのです。
腰椎分離症の症状とリスク
編集部: 腰椎分離症を発症すると、どのような症状が表れるのでしょうか? 後藤先生: 腰痛が出るようになります。特に、腰を反らしたり、ひねったりしたときに痛みを感じることが多いとされています。 編集部: 進行するとどうなるのですか? 後藤先生: 進行すると、スポーツをしているときだけでなく、日常生活でも痛みを感じることがあります。さらに放置すると、やがて骨のひびが入った部分がきちんとつながらず、「偽関節」になってしまいます。 偽関節とは、本来つながっているはずの骨の部分がつながらずに、不安定で関節のようになる状態を指します。 編集部: 偽関節になるとどうなるのですか? 後藤先生: 加齢とともに、分離した腰椎が前後にずれてしまうことがあります。これを「腰椎分離すべり症」と言い、腰痛のほかに、神経が圧迫されることによる痛みやしびれが生じることもあります。 編集部: 腰椎分離症は、早めに治療しなければならないのですね。 後藤先生: そのとおりです。腰椎分離症はしばらく休んでいると痛みが治り、スポーツを再開できることが多いので、「つい、治療せずに放置してしまった」というケースが少なくありません。 しかし、そうなると治癒が難しくなり、いずれ腰椎分離すべり症へ進行するリスクが高まります。必ず医師による診察を受け、適切な治療を受けましょう。