ヒット&美技で凱旋復帰したムネリンが吹き込んだメジャーの空気
メジャーから6年ぶりに凱旋帰国したソフトバンクの川崎宗則(35)が28日、京セラドームで行われたオリックス戦に「1番・二塁」でスタメン出場。福田秀平(28)の決勝2ランにつなげる先頭打者ヒットとピンチを防ぐ美技でチームの白星に貢献した。チームに“太陽のようなメジャーの空気”を吹き込んだ男が、ソフトバンク浮上の切り札になるのかもしれない。 試合前のミーティングでムネリンは「Have FUN!」と得意?の英語で語りかけた。メジャーリーガーらしく「楽しんでいこう!」と、野球というゲームの原点を思い起こさせた。 「地獄を見たからね。こんな素晴らしい環境で野球をやれることを目いっぱい楽しみたかった」 その言葉は、川崎を慕い、尊敬する選手たちの心に響いた。 7回だった。ムネリンがベンチで万歳して叫んだデスパイネの一発で先行していたが、6回二死一、三塁に中田のワンバウンドになるフォークを高谷が弾き、バックネットへ転々とする間(記録は暴投)に1-1の同点に追いつかれた。自滅で振り出しに戻した嫌なムードを先頭の川崎が、その一打で変えてしまった。 「全打席ヒットを狙っていた」 初球のストレート。詰まりながらもメジャーで磨いたパワフルなスイングでセンター前へ弾き返したのだ。 2011年11月17日の中日との日本シリーズで打って以来となる日本球界での凱旋復帰ヒット。ムネリンがお膳立てをすると、今宮がバントで送り一死二塁として負傷退場の柳田悠岐に代わって途中出場していた福田が勝ち越しの2ランをライトスタンドへライナーで叩き込んだ。福田の今季初ヒットが決勝2ランに変わった。 先に勝ち越しホームを踏んだ川崎はベースの前で福田を出迎えて抱きついた。 「自分のこと以上に嬉しかった。エキサイティング!」 ヒーローインタビューに呼ばれた福田は、「この一発はムネさんのおかげもあるかもしれませんね。海を渡っていた間も、上達したところを見せたいなと思っていたので、ムネさんが迎えてくれてすごく嬉しかったです」と、川崎効果について語った。 自画自賛の美技もあった。 4回二死一、二塁から中島のセンターへ抜ける強烈なライナーをジャンプ一番、キャッチ。打球を落としたが、冷静にベースカバーした今宮へトスして封殺した。一度、逆方向に踏み出したが、すぐさま反応した。あらかじめベースに寄って二遊間のスペースを締めていたポジショニングも良かった。データに基づいて大胆にポジションを動かす、シフトディフェンスが主流のメジャー流の技術だった。 「あの守備で勝てたね。シジマールを意識してね」 そう言って笑った川崎は、54歳で現役復帰した サッカーのJ3藤枝MYFCのGK、シジマールと35歳の自らを重ね合わせた。 7回裏の守りからは、川崎は、本多に代わってベンチに下がったが、「川崎、本多で最高の勝利の方程式でしょ」と、屈託がない。