ヒット&美技で凱旋復帰したムネリンが吹き込んだメジャーの空気
試合前には緊張したという。ファームで結果を残して1軍に上がってきたが、メジャーリーガーのプライドと、年俸9000万円の責任がある。ナイターでも「明るいから」とアイブラックと呼ばれる反射除けのペイントを自分で書いた。 1980年の南海ホークスのオールドユニホームでプレーしたチームの空気を川崎が一変させた。ムードメーカーの熱男、松田がいるが、メジャー帰りの最年長プレーヤーがふりまく空気感には、また違うものがある。 試合前、ムネリンは「11年の時には、選手会長としてみんなを引っ張っていましたが、今回は、野手では最年長なので、みんなに引っ張ってもらいたいと思います」と語っていたが、川崎の溌剌とした全力プレーと言葉、そして、太陽のようなオーラはチームに新鮮な空気を吹き込んだ。 工藤監督も「ベンチが明るくなった。選手にも色々と暖かい声をかけてくれていい雰囲気だった」と、ムネリン効果を歓迎した。 この日の試合を解説した評論家の池田親興さんも、「川崎が入って雰囲気が変わった。とにかくプレーが若いよね。ちょうど中村晃が1番で少し状態が悪かったときだったから、うまくはまった。川崎の加入で、セカンドの本多や明石、川島も刺激を受けると思う。川崎はファームでは、セカンドだけでなくショート、サード、外野も守っていた。今後、チームの状態に合わせて、彼が、チームのウイークポイントを埋めていくような存在として期待できると思う。最初は、守るところがない、川崎をどう使うか、という不安もあったが、V奪回を狙うチームにとって大きなプラス戦力になると思う」と、今後、チームに生まれるムネリン効果をこう予測した。 強くバットを振ることを余儀なくされたメジャーの5年間で、大振りになってしまったスイングは、どこかで修正しなければならないだろうが、池田さんの言うようにムネリンへの期待感は高まる。貯金「2」でまだ4位に甘んじているソフトバンクは、反撃のための最高の戦力補強をしたのかもしれない。