トランプトレードの熱狂、一部で後退-政策実現性を投資家が再考
(ブルームバーグ): 「トランプトレード」にまずは殺到した投資家だが、その熱狂が一部の資産クラスでは冷めつつある。公約した野心的な関税案をトランプ次期大統領が就任後に実行に移すのか、疑問が浮上した。
ドルは7日の引けまでに選挙後の上げの大半を消し、米国債利回りは最近のレンジ内に戻った。関税引き上げへの懸念から当初は大きく売られた中国株と人民元は、中国当局が打ち出す追加刺激策への期待により左右される動きとなっている。
トランプ氏の政策が選挙期間中に行われた公約と一致するのかどうか投資家が思案する中で、これらの動きは今後ボラティリティーが高まる可能性を示唆している。当初の衝撃が収まるにつれ、米金利見通しや中国の景気刺激策など、別の大型材料に注目は移りつつある。
みずほ銀行でアジア経済・戦略責任者を務めるビシュヌ・バラサン氏(シンガポール在勤)は「トランプトレードに最も熱くなっていた投資家でさえもが一歩引いて、現時点でポジションは行き過ぎているかもしれないと考えるようになったという感覚がある」と指摘。トレーダーらは「トランプ氏の政策執行や、それがどのように効果的に伝わり得るかを考えている」という。
投資家の頭をよぎる主な疑問は、中国製品に最大60%の関税を課すというトランプ氏の脅しが、どこまで現実になるのかということだ。トランプ氏の政策はインフレを押し上げ、長期にわたり金利を高止まりさせるとの思惑から週前半に顕著だったドル高・債券安などのトレーディングで、利益を確定させている投資家もいる。
疑いが生じ始める中でトランプ氏勝利に反応した資産の多くは選挙後の動きをほぼ消したが、米国株は例外だ。トランプ政権が米企業を支援するとの期待から、7日も続伸した。
仮想通貨に好意的なトランプ氏の姿勢から急伸したビットコインは過去最高値に上昇して以降、ほぼ横ばいの動き。ブルームバーグ・ドル指数は8日、約0.1%高となっている。米連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げで6日の下落の一部を埋めた米国債は、10年債利回りが4.33%と前日終値近辺で推移している。