育児休暇は本当に使える?…韓国・企業と労働者の間に潜む認識のギャップ
【12月02日 KOREA WAVE】韓国で、育児休暇など少子化対策の一環として導入された「仕事と家庭の両立支援制度」に関する企業と労働者の認識に大きな差があることが明らかになった。特に事業所の規模が小さいほど、その差は顕著だった。 韓国保健社会研究院が27日発表した「仕事と家庭の両立支援制度の導入、認識および活用格差分析」報告書によると、男性・女性労働者の約60%が育児休暇を「利用可能」と答えたが、その実際の利用率には課題が残る結果となった。 報告書では、雇用労働省が企業の人事担当者を対象に実施した「仕事と家庭の両立実態調査」と、研究院が労働者を対象に実施した「仕事と生活の調和実態調査」をもとに、主要な両立支援制度の利用可能性を点数化した。 両立支援制度の代表例である育児休暇では、企業が調査に回答した利用可能性のスコアは75.9点で高い評価を受けた。しかし、労働者の回答では、男性が62.2点、女性が58.9点と、60点前後にとどまった。 特に、事業所の規模が小さいほどスコアが低くなった。5~9人規模の事業所では、男性が57.2点、女性が50.7点と最低値を記録した。5人未満の事業所でも男性59.0点、女性51.3点にとどまった。 一方、100人以上の大規模事業所では企業側のスコアが94.9点と非常に高かったが、労働者のスコアは男性66.2点、女性67.0点にとどまり、同じ事業所内でも認識に差があることが浮き彫りとなった。 育児休暇だけでなく、家族看護休暇や育児期の労働時間短縮制度でも同様の傾向が確認された。100人以上の大規模事業所では企業と労働者のスコアが比較的高かったが、小規模事業所ではいずれも低いスコアにとどまった。 このような状況は、一部の大規模事業所や公的機関でしか制度が活用されず、小規模事業所では実質的な導入や利用が難しい構造的問題を浮き彫りにしている。この格差は、労働者間の集団的な不平等を広げる可能性があると指摘されている。 報告書では、中小企業の労働者が制度にアクセスしやすくなるよう、政策的な改変が必要だと強調している。特に、小規模事業所に対する代替人員の支援強化や、5人未満の事業所を対象とした調査拡大など、ターゲットを絞った対策が急務とされている。 研究院は「こうした制度が中堅・大企業や公的機関に限定される場合、集団間の格差を拡大し、不平等を深めるリスクがある」と指摘。その改善のために「中小企業労働者を対象とした制度改革が必要」と結論付けた。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News
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