全幅1.97mはデカすぎた!? 中身はよかったけど新規市場開拓ならず? 生産終了した[グランエース]に販売現場が思うこと
■販売ゼロスタッフも多数存在
販売期間は約5年間。その間、グランエースの契約を取ることが無かったという営業マンは多い。個人客へ向けた営業活動を専らの仕事にしている営業マンには、グランエースは縁遠い存在だったようだ。 特に全長5m超、FR、ディーゼルターボと特異な部分が多く、商品説明も一苦労した。稀に契約へ進みそうになる段階でも、「本当にグランエースでいいですか?」と念押しの確認が欠かせなかったそうだ。個人客からコンフォートの兄弟車「クラウンセダン(XS10系)」の契約を取る時と、商談の感じが似ていたと話す営業マンもいた。(それだけ売れることが稀である例えである。) 個人客に向けては、「正直あっても無くても大差ない」というのが、ディーラー営業マンの見解。個人向けの販売現場においては、存在感が薄く、導入意義も薄かったのではないだろうか。 正直、日本市場に限定すれば、グランエースの居場所は無かったと言わざるを得ない。誰が買うのかが想像できず、売りの対象にならなかったのが最も大きな敗因だ。発表後すぐにコロナ禍へと突入し、購買活動が抑えられてしまったのも不運というべきか。 自動車販売では、営業マンが欲しいと思ったクルマが、比較的よく売れる傾向にある。その点で、グランエースは欲しいクルマの対象から外れていた。これが、グランエースに対する、トヨタディーラーの評価とも言えるだろう。 「企画も装備もすごいのは分かるけど、自分は欲しくない。」海外のオーナーと同じような羨望の眼差しで、日本の営業マンがグランエースを見つめていたら、販売の数字は大きく違っていたと思う。 中身のレベルが高かっただけに、生産終了は実に惜しい。トヨタではなくレクサスとして完成させていたらどうなっていただろうか。もしかするとLMよりも大化けしたかも。復活の際には、レクサス店での取り扱いも検討してほしい。