“資産運用特区”で日本は変わるか 100億円以上を運用する日本のヘッジファンド経営トップに聞く【WBS】
政府は4日、投資家や資産運用会社の活動を後押しするため、東京など4つの地域を特区に指定することを決めました。アジアの金融センターとしてシンガポールや香港が先行する中、特区の創設で日本の金融市場は変われるのか。100億円以上を運用する日本のヘッジファンドの経営トップに話を聞きました。 総理官邸で4日、開かれた国家戦略特区諮問会議。資産運用立国を掲げる岸田総理大臣が政策の柱にしたのが、金融・資産運用特区の創設です。 東京都、北海道・札幌市、大阪府・大阪市、福岡県・福岡市の4つの地域が特区に決定。札幌は自然エネルギーを活用したグリーントランスフォーメーションへの投資を推進する特区、福岡はスタートアップの成長資金の供給強化を打ち出しました。 今まで日本語で求められていた資産運用業の登録などの行政手続きが英語でできるほか、外国人の銀行口座の開設を支援します。また4つの地域以外でも、資産運用業で経理やコンプライアンス対応などを行うバックオフィス業務などの外部委託を促進するとしています。 こうした方針について経営者はどう見たのでしょうか? 2018年にヘッジファンドを立ち上げ、100億円以上を運用している「武士道アセットマネジメント」の杉山賢次社長は「変わってほしいことが100ぐらいあるとしたら、3から5ぐらいは変わるかもというぐらい」と厳しい評価です。 政府が掲げるバックオフィス業務の外部委託の促進については「受託する業者がそんなに多くいるのかという問題もある。シンガポール、香港に運用業が集約していく中、金融商品取引法に詳しいコンプライアンスオフィサー(専門家)が少ない」と日本の複雑な金融商品取引法を熟知する専門家の少なさを課題に挙げました。 ただ、こうした動きは重要な一歩だと言います。 「金融庁、各自治体、東京都。あらゆる人が遅れに遅れた日本の運用業をどうにかして改善しようという前向きな気持ちになって動いているのは明らか。どんどん改革を進めていってほしい」(杉山社長)