沢村玲×別府由来「ハッピー・オブ・ジ・エンド」古厩智之監督が名シーンの裏側明かす
――続けて、千紘役の別府さんはいかがでしたか? 「別府くんはとにかく体が動くタイプで、動物に例えるなら犬のような人。犬って、裏表がないじゃないですか。彼のお芝居も同様で、『好き』とか『嫌だ』とか、セリフがなくても伝わってくるんです。うれしい時にはブンブン尻尾を振っているのが見えるような…(笑)。すごくアクティブに千紘を演じてくれました。これもまさに別府くんの個性と、彼自身が作ってくれたもの。別府くんの良さを生かせていたらいいなと思います」
――監督は今作で初めてお二人とご一緒されたそうですが、彼らに感じた“俳優”としての魅力とは? 「これは2人ともに共通することなのですが、若さもあるのかナイーブなんです。相手に対してひどいことを言ってしまうシーンや、つらいシーンを終えた後に、『うぅっ』という感じで自分まで傷ついていることがあって…。でも、これはある種キャリアを重ねていくごとに失われてしまう感覚で、そう感じられることは素晴らしいことだと思うんです。そんな2人のピュアさも写し出せていたらうれしいです」 ――別府さんが、以前にインタビューで「古厩監督は何でも挑戦させてくれた」と語っていました。監督から見て、お二人の芝居との向き合い方はいかがでしたか? 「このドラマはいわゆる大作といいますか、何十人も出てきて大変だ、というような作品ではありません。その分、主演の2人が“今どうするのか”をしっかり考えながらやっていくことが必要でした。その状況で彼らから芝居の提案が出てくるというのは、きちんと役に向き合っているということ。2人は僕より役については当然深く考えているので、それはもう彼らの提案を聞いた方が得しますよね。それで実際にやってみてイメージが違ったなら、何度でも一緒に考えればいい。このドラマはそういう有意義な作業ができた、非常に幸せな現場でした」
――ドラマの放送・配信前に何度か行われたインスタライブでは、お二人がたびたび別府さんのアドリブについて盛り上がっていました。 「これに関しては、僕に話すことなく勝手にやっているものもありますよ(笑)。千紘と加治(久保田悠来)が2人でたばこの煙を吹くシーン(第3話)なんて、実はあの後も3回くらい吹いていますから(笑)。でも、そういうシーンこそ面白かったりするのですが。ただ、西郷隆盛の物まね(第5話)は、ちょっと無理をさせてしまったかな。やり終えた後の千紘から、恥ずかしさがあふれていますよね(笑)」 ――別府さんが「7話でもアドリブがある」と、古厩監督の仕込みだとおっしゃっていました。千紘がスマホで“パンダの交尾”の動画を見ているシーンでしょうか?(笑) 「そうだと思います。あのシーンは別府くんに『何か面白いこと言ってよ』とお願いしたところ、『えぇ~!?』と言いながらも一生懸命考えてくれて。ただ、実はテストの時にも『パンダの交尾』と言っていて、それがすごく面白かったので『本番ではぜひそれを超えるやつを…』と期待していたのですが、『パンダの交尾』を超えるものが出てきませんでした(笑)」