5類移行から1年。コロナってどうなったの? コロナってなんだったの?
2023年5月8日に新型コロナウイルスが5類に移行してから1年。今年のゴールデンウイークは全国的に人であふれ、コロナ禍以前の景色が完全に戻った印象だ。しかし、どうしてもモヤモヤが......。コロナ禍は終わったの? そうだとしても、なかったことにするのは違くない? 【図表】後遺症のリスクは感染回数とともに高まる ■日本も世界も、まだ感染している 昨年5月8日に新型コロナが感染症法上の5類に移行してから1年が過ぎた。あのコロナ禍の日々から、日本社会も普通の日常を取り戻している。厳しい感染対策や行動制限がなくなり、暫定的に続いていた、ワクチン無償接種や高価なコロナ治療薬への補助も今年3月いっぱいで終了。 すでに2回目、3回目のワクチン接種を受けてから、かれこれ2年以上たっているという人も多いはずだが、それでも、新たなコロナ感染の波が来たとか、コロナによる死者や重症者が急増して医療現場の逼迫が起きているといった話は耳にしない。 そもそも、最近ではメディアも含めて誰もコロナの話なんてほとんど話題にしていないような気もするが、コロナ禍であれほど猛威を振るったコロナウイルスはいったいどこに行ったのか? 「新型コロナウイルスが世の中からいなくなったわけではありません。それどころか、実際には今でも多くのコロナ感染者がいるのです」と語るのは、免疫学者で大阪大学名誉教授の宮坂昌之氏だ。 「5類に移行してから、日本ではそれまでのような感染者の全数調査が行なわれなくなりました。そのため、現在は小児科を中心に、国が指定した一部医療機関の受診者を対象とした定点把握を基に、おおよその感染者数を推計するしかありません。 その定点把握のデータを見ると、現在は感染者数が減少傾向にありますが、今年1月末から2月にかけて、それなりに大きなコロナ感染の波が来ていたことがわかります。 そこで、今年に入ってからの『コロナ関連死亡者数』(死亡診断書のⅠ欄に、最も死亡に影響を与えたとして新型コロナ感染が記載された人の数)に注目すると、今年2月には3000人を超える方がコロナ関連死で亡くなっています。 おそらく、その大半は高齢者だと思いますが、たった1ヵ月で3000人超というのは昨年2月以降で最大。2023年に交通事故で死亡した方の総数(2678人)よりも多いのです」 実は大規模な感染の波も来ていて、コロナ関連死で亡くなる人も少なくなかったのなら、なぜ社会は普通に回っているのだろうか? コロナ禍の間、ずーっと政府や専門家たち、そしてメディアの報道で「怖い怖い」と脅かされ、厳しい行動制限をしたり、ツラい副反応に耐えてワクチンを接種したりしたのに、今は何もしてなくても大丈夫なように見えるのはなぜ?