なぜ火曜と日曜の夜はドラマが「こんなに多い」のか…!秀作もあるのにもったいない「重なりすぎ」問題
なぜ19世紀小説をタイトルにした?
でもなぜ、オールコットの19世紀小説をタイトルにしたのか、よくわからない。 四姉妹の物語だからということだろうが、原作世界とあまりに違う展開である。 そこを掘り下げても意味ないが、ひとつ言っておけば、『若草物語』は長女16歳から末妹12歳までの少女姉妹だけの物語であり、父は不在で母しかおらず、この「女性だけのきわめて狭い閉鎖空間」であることがこの物語ではとても大事だと私はおもう。この狭い世界がとても心地良くて広く読まれた少女文学なのではないか。そこを変えたら、私はほぼ何の意味もないとおもったのだけど、まあ、いまさらそこを言ってもしかたがない。 ヒロインは次女ジョーこと涼(堀田真由)である。 ドラマ制作会社でドラマ助監督をやっていたが、それを突然やめて脚本家になろうとする。有名脚本家のアシスタントとなり、徐々に力をつけていくさまがとてもおもしろい。 四姉妹は三女(長濱ねる)は行方不明になっていて、長女(仁村紗和)、四女(畑芽育)と一緒に暮らしている。 長女は非正規雇用でハローワークで働いている。上司のセクハラ、同僚のモラハラに悩んでいる立場である。 四女は服飾専門学校に通っていて、デザイナーとして一本立ちしたいと考えている。 行方不明だった三女も7話で再会した。 姉妹それぞれが、それぞれの立場で大変さを抱えていて、それで一生懸命進もうとしている。そういうところを描いて、なかなか目が離せない。 主人公の次女が、勢いで制作会社を辞めて、ドラマ脚本家として、その内実を知り、徐々に力をつけていく部分が成長物語として、ドラマ王道のおもしろさがある。 ドラマ脚本家の苦しみも見せてくれて、なかなか興味につきない。 あきらかにタイトルで損をしているとおもうが、しかたがない。 日曜10時台のドラマは、あまり見てもらえないという覚悟があるからか、かなりきちんと作られた秀作が出来上がっているとおもう。 放送後の展開も考えて、ということもあるのだろうが、きちんと作られている。 頑張って日曜のドラマは見逃すなというのがいまのところの私の決まりである。 【つづきを読む】『これは「とんでもないドラマだ」!第1話の終盤でいきなり…ドラマ好きコラムニストが驚いた「意外な展開」と「映像のスゴさ」』
堀井 憲一郎(コラムニスト)