なぜ火曜と日曜の夜はドラマが「こんなに多い」のか…!秀作もあるのにもったいない「重なりすぎ」問題
最初はよくわからなかった構成
ただ好きで、得意だから数学の勉強に邁進していたら、急にアメリカへ行けと言われて行ったのにもういいからと大学の途中で日本に戻された。本人の意志もあっただろうが、周りの「期待」に流される形で人生が作られ、その期待が途切れて、人生が変わっていくさまが、たぶん誰も悪くないだけに、見ていてとても切ない。 大学3年、つまりだいたい20歳すぎで、「失った人」となっている。 佐野勇斗がそこを演じて過不足がない。 ずっと応援したくなる存在である。 男女五人の物語で、恋愛もあるが、でもそこを中心には置いてない。それぞれの人生と生き方がメインにあって、そこを丁寧に描いて見応えのあるドラマになっている。 『マイダイアリー』というのは日記を読み返すという形式のドラマになっている。 ドラマの現時点ではヒロイン(清原果耶)は、大学を卒業して高校の教師をやっている。ようである。 毎話、冒頭の数分でヒロインの「現在」が描かれる。そこで大学時代をおもいかえすことになり「ふと人生の日記を読み返したくなった」というセリフで、大学時代へと戻る。 じつは、最初、この構成がよくわからなかった。
日曜夜遅くにやるのは「もったいない」
時代が前後する物語(過去と現代を行き来するお話)は、きちんと見てないとときどき把握できなくなる。まあ、気づくと深みを感じるんだけどね。 未来と言っても2年後あたりで、ついこのあいだのことでもある。 でも若者たちにとって、大学生であった時代と、働いてからはずいぶんと世界が違っている。その、若い者に届かない世界を丁寧に描いて、いやあ、日曜夜遅くにやるドラマじゃないよなあ、もったいない、とおもって見ている。 清原果耶が演じる女性は、物静かで穏やかな女性である。 ときどきドジなことをやって慌てるけれど、でもそれほどのことでもない。まわりをしずかに和ませる。 清原果耶は、こういう落ち着いた役を演じることが多い。 あらためて清原果耶のドラマをだいたい見ているのだと気づく。 デビューの『あさが来た』から『精霊の守り人』、『セトウツミ』、『透明なゆりかご』、『なつぞら』『俺の話は長い』ときて2021年朝ドラ『おかえりモネ』でヒロインを演じた。 そのあとは、『ファイトソング』『霊媒探偵・城塚翡翠』あたりである。だいたい年1本くらいのペースでドラマに出ている。 並べてみると『セトウツミ』がとても懐かしい。 『マイダイアリー』でもこれまでの清原果耶らしい世界が守られて、清原果耶は清原果耶のままである。わたしはこういう世界が好きだ。 『若草物語~恋する姉妹と恋せぬ私~』はドラマとしておもしろい。