次世代パワー半導体、貼り合わせウエハー共同開発 レゾナックと仏社
レゾナックは24日、半導体材料を手掛ける仏Soitec(ソイテック)社と、SiC(炭化ケイ素)パワー半導体向け貼り合わせ基板の共同開発契約を締結したと発表した。薄い膜であるエピタキシャル層を成長させた200ミリメートル(8インチ)のSiCエピタキシャルウエハーで、両社の技術を生かして生産性の向上を狙っている。 【関連写真】レゾナックは、先端半導体の製造工程で活用する新技術の開発も加速している レゾナックは、SiC単結晶基板にエピタキシャル層を成長させたSiCエピウエハーを生産している。8インチの大口径化にも取り組み、サンプル出荷も開始している。 ソイテックは、高品質なSiC単結晶基板を加工し、サポート基板となる多結晶SiCウエハーに貼り合わせて生産性を高める独自の「SmartSiC技術」を有する。この技術で、1枚の単結晶基板から複数の高品質SiCウエハーを生産可能。生産性の向上に加え、SiCウエハー製造時の二酸化炭素(CO₂)排出量を最大70%削減できるため、環境負荷の低減やコストメリットもある。 今回の共同開発では、レゾナックはソイテックにSiC単結晶を供給し、ソイテックはそれを使ってSiC貼り合わせ基板を製造。両社の共創により、8インチSiCウエハーの生産性を向上することを目指す。 パワー半導体は、電動車や産業機器など幅広い用途で使われている。特にSiCはシリコン(Si)に比べ、電力変換時の電力損失や熱の発生が少なく、省エネルギー化に貢献するため、需要が急拡大している。 半面、SiCパワー半導体の主要材料となるSiC単結晶基板は、均一な結晶であることが求められ、生産には高度な技術が必要。結晶成長にも時間を要することから、生産性向上が課題となっている。
電波新聞社 報道本部