夫から「定年後は収入が減るからパートを始めてほしい」と言われました。いまどきは妻も働かないと、定年後の「生活費」は賄えないのでしょうか?
定年後も再雇用で働こうと考えている方もいるでしょう。再雇用だと同じ会社で働き続けられる一方で、収入が大きく変わるケースもあります。再雇用後の給料によっては、配偶者も働いた方がよい可能性もあります。 まだ定年前でどれくらい給料が変わるか分からないときは、おおよその目安を知っておくと再雇用後のイメージがしやすくなるでしょう。今回は、再雇用で給料がどれくらい変わるのか、また定年後の生活費などについてご紹介します。 ▼65歳から70歳まで「月8万円」をアルバイトで稼ぐと、年金はどれだけ増える?
再雇用で給料はどれくらい変わる?
株式会社リクルートが2023年に公開している「【基本報告書】シニア層の就業実態・意識調査 2023 -個人編 60~74歳-」によると、定年前後で同じ会社に勤めている方で、定年前と比較した給料の変化割合の上位3つは以下の結果になりました。 1位:50~75%未満 2位:25~50%未満 3位:75~100%未満 いずれの場合でも、定年前と比較すると給料が低下していることが分かります。そのため、定年退職後に再雇用で働くと、給料が下がる可能性が高いといえるでしょう。 また、厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査の概況」によると、男性の正社員の場合、55~59歳時点での平均月収は44万800円です。もし60歳で定年退職してから再雇用となり、給料が減った割合で上位を占める50%の金額となった場合、月収は22万400円になります。20万円以上の差となり、家庭によっては生活に大きな影響を与えるでしょう。
定年後の生活費にはどれくらい必要?
総務省統計局の「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯」によると、2023年時点の勤労者世帯で、世帯主が60~64歳の1ヶ月の平均実支出は41万572円でした。もし先ほどの男性正社員の平均月収から考えると、たとえ平均月収の75%の金額であったとしても33万600円になるため、約8万円不足する計算です。 60歳で定年退職した場合、年金を受け取るまでの間は、不足分を貯金から賄うことになります。しかし、貯金に余裕があまりない場合は、今回のケースのように、妻も働いた方が家計に余裕が出るでしょう。 実際、厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査の概況」では、女性で非正規雇用だったときの平均賃金も公開されています。資料によると、60~64歳の女性の場合は、非正規雇用で平均月収が20万8900円です。 これだけあれば、夫が再雇用で給料が減ったとしても、生活費にはあまり影響を与えずに暮らせるでしょう。