不登校は「大人の無理解が原因」、不登校の子どもと親がトーキョーコーヒーに集まる訳
「味噌づくり」をしながら教育や社会について語る
2024年2月。東京都足立区・葛飾区で活動する「トーキョーコーヒーあだち・かつしか」を訪れた。今回の活動の会場である区内の公共施設「亀有学び交流館 料理実習室」に足を運ぶと、香ばしくほんのり甘い匂いが部屋中に漂っている。 見ると、この場に集まった保護者と子どもたち約20人が複数のテーブルに分かれ、ゆでた大豆をすりこぎやマッシャーでつぶしている。この日の活動は、恒例の「味噌づくり」だ。 大人は、最近の出来事や学校のこと、子育てのことなどについておしゃべりしながら手を動かしている。子どもたちは、そんな大人のそばで一緒に大豆をつぶしたり、歩き回って周りの様子を見渡したり、部屋の隅でお絵描きしたりなど、自由に過ごしている。会場全体に、ゆるやかで温かい空気が流れている。 「子どもが幼稚園から小学校にあがるとき、一斉授業のイメージが強い学校教育に対する漠然とした不安感を抱きました。それまで自由保育の幼稚園で、子どもは自分のやりたいことに没頭する毎日を送っていたのですが、小学校に入学したらどうなってしまうのだろうと。幼稚園時代の仲間たちと子どもたちの体験、経験の場を細々と作り続けていたとき、吉田田さんが『トーキョーコーヒー』を始めることを知り、その思いに共感して2022年9月から月に2回のペースで活動を始めました」というのは、「トーキョーコーヒーあだち・かつしか」主宰の泉美智江氏だ。料理や工作などをしながら対話し学び合う場を設けているという。 小学2年生の次女が、時々「学校に行かない」と選択するという泉氏。これまでの集いで、次女のことや学校への思いなどを話してきた。「一人で悩むよりも、大人が集まって皆で何かを楽しみながら話すことで距離が近づき、打ち解けられる、大人も子どもも安心できる場所だと思います」(泉氏)。 同じく主宰を務める薄葉(うすば)藍氏は、小学4年生の長男が、不登校ではないけれどもいやいや学校に行く様子が見受けられることもあるという。「このまま見守りつつ、『行かない』と言い始めたら、そのとき一緒に考えようと思います」という。 ほかにも不登校の子どもをもつ保護者が何人かいたが、全員に共通しているのは、わが子の不登校・不登校傾向を悲観するのでなく、よい意味で“あっけらかんと”とらえていることだ。大人同士の学びや対話を通し、それぞれがそれぞれの方法で心を整え、家族や社会と向き合っていることが伝わってきた。 「今後は、地域のコミュニティスペースで定期的にお話会も開催する予定です。『学校は○○だから』『社会が△△だから』で終わりにするのでなく、どうしたら大人も子どもも幸せな社会になるのかを一緒に考える仲間を増やしていきたいですね」(泉氏・薄葉氏)