クルマが知能化するってどういうこと? 「Honda 0」が提案する新しい人とクルマの関係
家内安全・夫婦円満にも貢献するかも(笑)
このホンダ0のAIアシスタント機能では、カメラの映像をもとに乗員や車内の状態を認識。乗員ごとに最適化された提案やサポートを、“先回り”して行うという。例えばペットのワンちゃんと一緒に旅行を楽しんでいる場合は、ドッグラン併設のサービスエリアでちょっと早めの休憩を促したり、ペット同伴可&駐車場有のカフェへの立ち寄りを提案したりしてくれる。 また過去のオーナーの行動をもとにAIが学習し、クルマに乗れば乗るほど、よりオーナー一人ひとりにパーソナライズ化された提案をするようになるというのだ。「左手ニ、イツモ立チ寄ル喫茶店ガアリマスガ、休ンデイキマスカ?」「あらダーリン。私、こんなお店知らないわ」「僕もだよハニー。ホンダ0が壊れちゃったかな? ハハハ(滝汗)」ってな具合だ。 説明会では、ホンダ0のAIが認知・判断した車内状況を文章生成AIで文字化するという、“AIダブル掛け”みたいなデモンストレーションが行われたが、報道陣が即興で実演スタッフに芝居をお願いしても、「乗員は作業着姿の2人組で、深刻な表情で会話中。仕事先へ行く途中かも」(実際は「車内でケンカしてみて」というリクエストでした)などと、かなり柔軟に事態を読み解いて見せた。 それどころか、自車周辺にこちらに見入る人々(=報道陣)がいることまで検知し、「ひょっとしてワタシは展示車で、ショールームで展示されている最中?」という考察にまで至ったのには恐れ入った。はっきり言って、ちょっと怖いとさえ思った。デモの後で、「そのうち、助手席に見知らぬ女性が乗ったら自動で奥さんのスマホに通知する、なんてこともやるようになるかもしれませんね」と軽口をたたいたが、あながちそんな未来も絵空事ではないような気がする。世の浮気性なパパ諸君、お覚悟あれ。
遠くの人と同じ時間を共有できる
またホンダでは、こうした車載センサーで得た情報・データを、車外の人との“体験の共有”にも使おうと考えている。通信によって映像と音声をリアルタイムでやり取りすれば、入院中のおばあちゃんも一緒に養老渓谷の紅葉狩りを楽しめるというわけだ。実際、デモンストレーションではVRゴーグルを介し、栃木にいながら横浜の実演要員とみなとみらいをドライブする……という、まかふしぎな体験をさせてもらった。 エンジニア氏によると、この技術を活用すれば、ライブ配信をするユーチューバーと疑似ドライブ体験ができたり、推しのアイドルと疑似ドライブデートができたりするようになるとのこと。コワモテなエンジニア氏の口から「推しのアイドル」なる言葉が出てきたことに、今という時代を感じた次第だ(笑)。 いっぽうで、YouTubeやアイドル文化に造詣がない未開人(=記者)でも「こりゃ面白い!」となったのが、サウンドとデジタルメーター表示による「ホンダの歴代名車(?)の再現」機能だった。まぁ要するに、「EVでも走行中にあのクルマのエンジン音が楽しめる!」というもので、エンジニア氏いわく「ホンダがよくやる、本気のおふざけ」とのことだ。今にも読者諸氏の「しょうもな!」という声が聞こえてきそうだが、いやいや。これが実際に体験すると、「しょうもない」では片づけられない、面白くも考えさせられる体験だった。 EVなので音は全部スピーカー再生だが、なにせ往年の初代「NSX」や「S2000」から、最新の「シビック タイプR」、果ては「ホンダジェット」のサウンドまで聞かせてくれるのだ。しかも、車体の振動まで再現するという意味不明な気合の入りよう。こと自動車メディアの間では、この日最も盛り上がったのは間違いなくこのデモンストレーションだった。 EVなので音は全部スピーカー再生だが、なにせ往年の初代「NSX」や「S2000」から、最新の「シビック タイプR」、果ては「ホンダジェット」のサウンドまで聞かせてくれるのだ。しかも、車体の振動まで再現するという意味不明な気合の入りよう。こと自動車メディアの間では、この日最も盛り上がったのは間違いなくこのデモンストレーションだった。