〈米欧が今すべきウクライナ支援〉苦境深きロシアとの交渉へ示すべき力
今回の米国の決定に仏、英、独が同調すれば、戦況は変わりうると思われる。英仏はそうするようであるが、ドイツは少し躊躇していると報じられている。ドイツも歩調を合わせるべきであろう。 この社説では、ATACMSでの攻撃はクルスク地方に限られるかのような示唆があるが、もうすでにブリャンスク州の弾薬庫への攻撃がなされたので、そういう制約はないと思われる。
戦争は、始めるのは易しいが終らせるのは難しい
今度の決定がウクライナ戦争の帰趨、今後の交渉に与える影響はかなりあると考えられる。プーチンは核兵器の使用についてのドクトリンの変更を承認して、威嚇を強めている。 ロシアは大陸国であり、歴史的にも攻められたことが多く、ロシア人は臆病なところがある。その臆病さゆえに過剰防衛的で攻撃的である傾向がある。しかし、今度の件でロシアが核使用を含むエスカレーション路線を取る可能性は小さいのではないか。「エスカレーションの階段を駆け上がることはありそうにない」との社説の判断に賛成である。 戦争は、始めるのは易しいが終らせるのは難しい、というのが歴史の教訓である。その教訓を無視したプーチンは今かなり困っていると判断していいのではないか。ロシア国内での支持も操作された大統領選挙や地方選挙に表れているように強くなく、戦死者の数の増大、若者の国外脱出、北朝鮮に兵員不足を埋めてもらう措置などはプーチンの苦境の深さを示している。 トランプ政権による交渉の時期が近付いている。トランプがプーチンの弱さを見抜き、バイデンの今次の決定の効果を踏まえて、公正な和平のためのよい取引をしてくれることが望まれる。
岡崎研究所