【金融庁KPI結果発表】顧客が一番儲かっているネット証券は? 投資信託コスト&リターンで優秀なのはココ!
金融庁の求めに応えて毎年公表されている「投資信託の販売会社における比較可能な共通KPI」。主要ネット証券5社の2024年の最新結果をレポートする。【本記事はアエラ増刊「AERA Money 2024秋冬号」から抜粋しています】 【図7点】顧客が一番儲かっているネット証券がわかる図はこちら!(ランキングたっぷり) 金融庁の資料にこう書かれている。 「リスクや販売手数料等のコストに見合ったリターンを長期的に確保できているかを国民が比較検討できるよう、各金融事業者が、リターンに関連する共通の定義による統一的な指標(以下、「共通KPI」)を公表することを期待している」(金融庁「投資信託の共通KPIに関する分析」/2024年3月末基準)。 「公表することを期待している」と書かれているため強制ではないが、圧がすごい。多くの金融機関が金融庁の「期待」に応えて毎年、規定のデータを公表している。 KPIとは「キー・パフォーマンス・インジケーター」の略語。重要達成度指標などと訳される。 投資信託の共通KPIは毎年3月末の顧客の損益状況や預かり残高の多い投資信託について、コストとリスク、リターンのバランスはどうなっているのか、金融機関ごとに簡単に比較できるよう、同じ基準で数値化したものだ。 今回は主要ネット証券5社の共通KPIに本誌独自集計データを加え、ネット証券ごとの違いを探る。 ■儲かり顧客の割合 興味深いのは、証券会社ごとの顧客の利益だ。儲かっている顧客の割合は楽天証券が99.1%でトップ。僅差(きんさ)でSBI証券の98.9%が続く。 マネックス証券は95.9%で3位だが、「30~50%未満」「50%以上」の利益を上げている顧客の割合は5社中で最も多い。 4位の松井証券は76.6%。なぜ、高コストのテーマ型投資信託を売り付ける営業マン(失礼)もおらず、顧客が投資信託を自由に選べるネット証券で他社とここまで差がつくのだろう。 「儲かっている人」の割合に大きく影響するのが投資信託の取り扱い開始時期だ。 松井証券が投資信託の販売をはじめたのは2016年11月。当時の日経平均株価は1万7000円前後だった。 その10年前の2006年には、SBI証券(当時はイー・トレード証券)が早くも投資信託のつみたてサービスを開始している。 楽天証券の前身、DLJディレクトSFG証券も投資信託の取り扱いは早かった。 日経平均は2008年のリーマン・ショック以降、一時7000円割れまで暴落している。 その時期(株価の安いとき)に投資信託を買って長期保有してきた顧客が多いほど顧客の利益率は高くなる。松井証券は投資信託の販売期間において他社より分が悪い。