バイデン対トランプ 討論会から見えてくる「“弱者男性” 対 “有害な男らしさ”」とは? ニューヨークZ世代が「男の強さと弱さ」を考察
◆日本の弱者男性にアメリカの若者が思うことは?
アメリカの有害な男らしさの代表として取り上げられることが多い人物は、トランプ元大統領です。トランプ氏が言っていることの大半は事実無根の嘘だったことがファクトチェックでわかっていますが、事実を淡々と話すバイデン氏がかすれ声で弱々しく見えたために、トランプ氏が優勢だと視聴者は感じました。 アメリカ大統領には強さが求められるかもしれませんが、嘘を連発して相手を攻撃するトランプ氏のほうがよく見えてしまうのが現実です。 日本においては、有害な男らしさの代表のトランプ氏に「強さ」を見出してしまうような、過激な動きは目立っていません。一方で日本でもおそらく、社会の急激な変化に取り残されているような孤独さを感じている人は、女性よりも男性に多いようです。日本で弱者男性が生まれることについて、ラボメンバーはどのように感じているのでしょうか? ケンジュ:日本で起こっているのは“いいこと”かもしれないよ。女性が強いのはいいことだと思うんだ。だから男はもっと頑張って、もともとあった秩序に戻そうっていう動きではないのかな。 ノエ:待って。君が言っているのは「変化を生み出しているからいい」という意味だと思ったけど、男だからこうあるべきだという規範に従う必要はない。別に弱くてもいいってことなんじゃないの? ケンジュ:秩序を取り戻すための変化だと思うんだ。男らしさとかそれに関連するトピックが話題になっているのは、日本も含めて西洋化した社会で男らしさの価値が下がっているからだと思う。 男と女にはそれぞれの役割があるでしょう? 男らしさが衰退すると、社会も変わってしまう。だからこそ、これが大きな議論のトピックになっているんだと思うよ。 2人とも日本で弱者男性が生まれるのはいい変化だと言っていますが、その理由は正反対です。ノエは弱者男性の存在が認知されることで、「男はこうあるべき」という従来の価値観から、みんなが自由になれるかもしれないと考えています。「たしかに、男は強くあるべきと考えられているからこそ、弱者男性という言葉が新しいわけです」とシェリーは補足します。 ところがケンジュは、男らしさという価値観自体が世界で衰退していることを問題視しており、従来の男らしさをとり戻したいからこそ、弱者男性が注目されているのだと主張しました。シェリーは「そもそも、従来の男らしさとは何でしょうか。時間が足りなくなったので、この続きはまた話したいと思います」と発言し、話題を締めくくりました。 (interfm「NY Future Lab」2024年7月3日(水)放送より)