クレーム電話には「笑顔」が防御となる 怒りの感情に「同調」することをまず避ける
そうではなくて、何があったのか、事実を聞いていきます。「どうされましたか?」「何がありましたか?」「何がお困りですか?」など、感情ではなく事実をたしかめます。そうすることで、怒りのもとにある一次感情に迫っていけるのです。 イメージとしては、取材をしている感覚です。「いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように」という「5W1H」をおさえるように、冷静に聞いていきます。事実関係がつかめると、「ああ、だからこの人は馬鹿にされたと思って悔しいんだ」とか「理解されなくて悲しかったんだ」ということがわかります。
でも一次感情が理解されないままだと、相手は理解してもらうために「そう言えばこんなこともあった」「こんなこともされた」とエピソードを引き出し、ますます怒りがエスカレートすることになります。 あくまで冷静に、客観的な事実から相手の一次感情を推測する。そしてそれに寄り添って「こちらも勉強不足で、きちんとご不安にお答えできずにもうしわけございませんでした」など相手の一次感情に寄り添ってコミュニケーションします。怒りの奥底にある一次感情をわかってもらえたと感じると、それで満足して、怒りがトーンダウンすることが多いでしょう。
また、はずしてはいけない質問は「あなたはどうしたいか」ということです。何に困っているのか、何を解決したいのか、感情論ではなくて、具体的にどうしたいのか意向を聞くことが、最終的な解決になります。 話を聞いてほしいだけなら、不満を聞いてあげればいいですし、何かを希望するのであれば、こちらもそれなりの情報開示や裏取りも行わなければなりません。 相手がどうしてほしいのか、知ることがクレーム対応に一番大切なことです。
■理不尽なクレーマーには クレームの電話の中には理不尽なものもあります。私が電話相談業務に携わっていたとき、相手が理不尽なことを言い、ただ感情をぶつけているだけだと感じたら、思う存分吐き出してもらうことにしていました。 ただ、まともに聞いているとこちらのメンタルが疲弊するので、基本的には受け流しです。「ええ」とか「はい」くらいはたまに言いますが、基本的にこちらからは何も言いません。すると、そのうちに気持ちの整理ができるのか、落ち着かれることが多かったように思います。