昨年まで優勝争いに出番のなかった4年生の存在感(関東大学女子バスケットボールリーグ・白鷗大学 高田栞里)
第74回関東大学女子バスケットボールリーグ戦1部は、14連勝と無敗を誇る白鷗大学が3連覇を達成。ラストゲームは、長きに渡って優勝を争う東京医療保健大学と対戦。今シーズン、春のトーナメント(第58回関東大学女子バスケットボール選手権大会)は84-66、リーグ戦の1巡目も89-60と点差をつけて快勝。フルメンバーで臨む3度目の対戦、97-67と30点差で白鷗大学が力を見せつけた。 これまでもゴール下を制してきた #13 オコンクウォ スーザン アマカだが、4年生になった今はハイポストからドライブを仕掛けるなどバリエーションが増え、技術と機動力でパワーアップした姿に驚かされる。最終戦も25点を挙げ、合計313点(平均22.4点)で初の得点王に輝いた。キャプテンの舘山萌菜が大会MVPを受賞。#23 高田栞里は52本(平均3.7本)でアシスト王と優秀選手賞を手にし、存在感を示す。アマカと舘山は1年生のときから活躍し、第1クォーターに3本の3ポイントシュートを決めてチームを勢いづけた同じく4年生の #75 佐藤多伽子も、少ないながらプレータイムを与えられてきた。しかし、高田だけはこれまでの3年間、ライバルとの優勝争いに1度もコートに立っていない。 「偉大な先輩方ばかりでしたので、なかなか出場機会はありませんでした。ずっと悔しい思いしてきた分、腐らずにここまで積み重ねてきたことが、4年目でこうやって結果に出たと思っています」 偉大な先輩たちの影に潜みながらも努力を止めなかった。これまで以上に大差をつけた立役者であり、もっと早く起用されても良かったのではないか ──「それは内心、私も思っています」と笑顔で返す強靱なメンタルも鍛えられる3年間だった。東京医療保健大学に30点差をつけた勝因は、「毎試合挑戦者の気持ちを持って戦えたことで油断することなく、成長することだけを目指してがんばってきました。それが、この結果につながっていると思います」という高田が先頭に立って体現し、チームの背中を押し続けている。 過去3年間、インカレでの東京医療保健大学戦は、佐藤もプレータイムがなかった。同じ境遇で苦楽をともにしてきたからこそ、お互いに良いプレーをすれば目を見合わせ、駆け寄って活躍を称え合う。舘山、アマカ、佐藤、そしてベンチに入ってはいないが #68 髙木愛華とともに5人の4年生は「メチャクチャ良い仲間です。でも、練習中は常にバチバチ戦い合える仲間でもあり、本当にみんなと一緒にプレーできて良かったと思っています」と高田は感謝を述べ、コート上で優勝の喜びを分かち合った。 白鷗大学にとって、関東制覇は目標へ向かう通過点に過ぎない。この優勝に対し、「率直にうれしいのと、安心したという感じでホッとしています」と笑顔を見せた高田だが、インカレへ話題を向けると一気に顔が引き締まる。昨年のインカレチャンピオンとして全国から追われる立場の白鷗大学にとって、30点差の大勝も課題ばかりだったようだ。 「自分たちのオフェンスはまだまだすり合わせていけると思いますし、ディフェンスではノーファウルでもっとプレッシャーをかけて、もっと点数を抑えられると思っています」 11月29日より開幕するインカレまでに「自分たちのバスケを完璧に、徹底してどのチームにも勝てるように、今よりもレベルアップした白鷗大学を見せられるようにがんばります」と昨年はインカレ決勝のコートにいなかった高田、そして佐藤が2連覇へ向かう原動力となる。
泉誠一