「大浴場に人糞が垂れ流し」「外から鍵をかけて…」いま、地方のリゾマンが「姥捨山マンション」と化しているあまりに悲しい理由。
「信じられないかもしれませんが、糞尿が廊下に垂れ流しになっていたり、真夜中に住民が廊下を犬を連れて徘徊をする、誰かに狙われているという幻聴から四六時中奇声をあげている…まるでこの地獄のようなマンションになってしまうんです」 そんな場所に住まわせておけない!と心配する子どもやケアする親類はいないのだろうか? 「もちろんそういう人もいるでしょう。しかし、見て見ないフリをする人もいます」 親が少しボケているなと感じても見て見ぬふりをするということだろうか? 「認知症の介護は並大抵のものではありません。例えば、徘徊をして怪我をし、救急車を呼ばれると、するとそれがたとえ、夜中の2時や3時であってもすぐに迎えに行かなければならないのです。そんな生活、普通のサラリーマンには到底無理でしょう。仕事なんて、できたもんじゃないんです。これは私の実体験ですが……。 時間も労力もお金もかかると八方塞がり。介護をするとなったら、自分の人生をある期間捨てるくらいの覚悟が必要なんです」。 その答えが、高齢化した親をマンションにそのまま残すという選択か。 「先に話したように子どもが親の認知症に気がついていないというケースやそもそも身寄りのないケースも含めてですが、残念ながらそういうことになります。 残すといえばまだ聞こえはいいですが、スラム化したマンションは姥捨山と同じ。親を捨てるんですよ、マンションに」 【後編】ではより深刻な田舎のリゾートマンションで起こっているという「姥捨山マンション」についてリポートしていく。 取材・文/滝沢 悠