「大浴場に人糞が垂れ流し」「外から鍵をかけて…」いま、地方のリゾマンが「姥捨山マンション」と化しているあまりに悲しい理由。
「何年も前からマンションの高齢化は社会問題だと言われてきましたが、この1、2年の値上げラッシュでトドメを刺された形です。なかでも電気代、ガス代、水道代など、決して欠くことのできないライフラインの値上げは深刻です」。 光熱費は、個人での支払いではないのだろうか? 「もちろん個人で使ったものはそうですが、マンションには共有部が存在します。 その光熱費は管理費から捻出されることになっているんです。しかし昨今の値上げで、光熱費は倍以上になってしまいました。高齢化するマンションは、そもそも年金暮らしの人ばかり。 お金に余裕がなく、滞納する人も多々います。さらに空き部屋が増えるとそこからもちろん管理費は徴収できません。このような理由から、通常よりもかなりカツカツの会計なんです。無論、値上げした光熱費では足りず、補填せざるを得ません」 いったいどこから補填するのだろう?
「マンションが数年に1度行う修繕のためにしているのが、修繕積立金です。その積立金から補填するんです。今はなんとか運営できているマンションでも、この値上げには太刀打ちできません。このままいくと底をつくことになるでしょうね。 もちろん大規模修繕をすることもできません。すると外壁がはげる、下水道が逆流する、手すりが錆びて朽ちるなど、住みにくさは加速します。若い人が寄り付くはずもありません。こうして、マンションは悪循環に陥り、スラム化しているのです。これは絵空事ではなく、実際に私が見たリアルケースです」
さらに問題を加速させる理由があると平塚氏は話す。 「すべての人ではありませんが、加齢とともに問題行動を起こす人が増えていきます。 例えば、私が関わったある都内のマンションでは、グループホームのように管理人室に1日中入り浸っておしゃべりを続ける高齢者グループがいました。管理人は耐えきれず退職。
そんなマンションで働きたい管理人はいないので、管理会社が管理から退いてしまったこともありました。そのマンションは、すぐにスラム化しましたね。 そして、メディアは報じませんが、さらに大きな問題となるのが認知症を患った高齢者の住民の存在です」 平塚氏は認知症の介護経験者でもある。 「私は認知症になった両親を自宅で介護した経験があります。そういった背景から私に相談を持ちかけてくるマンション関係者も少なくありません。 まず認知症の初期症状としてよく聞くのが怒りっぽくなることです。認知症が疑われる住人が増えるとありとあらゆるところで諍いやトラブルが起きることになります。さらに症状が進行すると幻覚があらわれ、恐ろしい奇行がマンション内で繰り広げられることになるのです」 恐ろしい奇行とはどんなものだろう?