あなただけのロールス・ロイスを創作する空間が、ソウルにオープン
2023年、ロールス・ロイスは過去最高となる6000台以上を販売した。販売台数の増加とともに、ビスポークの需要も高まっているという。自分だけの1台を仕立てる場所として、プライベート・オフィスがソウルにオープンした。 【写真9点】ロールス・ロイスのプライベート・オフィス・ソウル
アジアでは、新しい富裕層が台頭している
ソウル東南部に位置する蚕室(チャムシル)は、さまざまな楽しみ方ができるエリアだ。漢江(ハンガン)公園やオリンピック公園で憩いの時間を過ごすのもいいし、テーマパークやショッピングモール、韓国最高層のビルも賑わっている。伝統的なたたずまいと新しいライフスタイルが調和するこの地では、老若男女が思い思いのスタイルで過ごしている。 2024年11月、この地区に、ロールス・ロイス・モーター・カーズのプライベート・オフィス・ソウルがオープンした。 プライベート・オフィスとは、世界に1台、自分だけのビスポーク・カーを仕立てるための場所で、英国グッドウッドのホーム・オブ・ロールス・ロイス、ドバイ、上海、ニューヨークに続く5番目の拠点がソウルということになる。 プライベート・オフィス・ソウルに一歩足を踏み入れると、近年のロールス・ロイス各モデルのインテリアと同じように、伝統的なラグジュアリーと、モダンで明るい雰囲気が融合していることがわかる。エクスクルーシブな場所でありながら、同時にリラックスすることもできるのだ。エラリー・クインの推理小説に、『心地よく秘密めいた場所(原題は『A Fine and Private Place』)』という作品があるけれど、このタイトルが頭に浮かぶような空間だ。 印象的なのは、和紙のようにも見える透過性のある紙や木材が効果的に配置されていることで、アジアらしさが表現されている。もうひとつ、スペースの奥にキッズルームが設置されていることも興味深かった。これはソウルだけに用意されているスペースだという。 プライベート・オフィス・ソウルには、アジア太平洋の全域から顧客が訪れる。つまりこの地域には、子供を連れてロールス・ロイスをビスポークしに来るような、新しい富裕層が台頭しているということだろう。 プライベートオフィスは予約制で、現地駐在のクライアント・エクスペリエンス・マネージャーと、リージョナル・ビスポーク・デザイナーが応対する。顧客との会話やリサーチを通して、ビスポークに何を望むかを丁寧に引き出し、グッドウッドのクラフツマンと連携しながら、車両を仕立てていくのだ。 ソウルでクライアント・エクスペリエンス・マネージャーを務めるジェフリー・チョイは、近年はクライアントのビスポークへの熱の高まりを感じると語り、「望んだクルマに仕上げることはもちろん、クライアントの素晴らしい体験をサポートしたい」と続けた。 ソウルのリージョナル・ビスポーク・デザイナーであるジェームス・ロバート・ベイズンは、次のような抱負を語った。 「色や素材に関するアイデアなど、ビスポークを希望するクライアントの話をうかがうことは素晴らしい経験です。日本からも、たくさんの顧客が来てくださるはずですが、エキサイティングな顧客とともに作業をして、最高のクルマをクリエイトしたいと思っています」