藤原美智子さん&杉山絵美さん、“二拠点生活”で得た心許せる友「程よい距離感が心地いい」
年を重ねて身についた幸せを感じる力
藤原さんは、40代から“忘れる“ことを心掛けていると話す。 藤原さん:長く生きていると仕事でもプライベートでも、経験したことが増えてきて、新鮮に感じられなくなってくるでしょ? だから、忘れたほうがいいって気づいたの。 杉山さん:過去の栄光とか成功体験に囚われないなんて、なかなかできることではないですよ。 藤原さん:成功体験なんてないわよ。それに私、昔のことって忘れやすいし(笑)。そのほうが新たな発見や感動が増えて、毎日が新鮮になるもの。 杉山さん:なるほど! 幸せの感度が上がるってことですね。だから、美智子さんは、いつもいきいきとされているんですね。
楽しい会話が隠し味 料理は五感で味わう
藤原さんの家で集う際、調理するのは杉山さんと十紀人さん。藤原さんはテーブルのセッティングを担当。 藤原さん:いつもパパッと作ってくれるけど、絵美ちゃんの料理はどれも本当に美味しくて彩りがキレイ。さすがだと思うわ。 杉山さん:十紀人さんのお料理も素晴らしいです。いつも勉強になります。 ──両祖父が文化勲章受章者(日本画家の杉山寧氏、建築家の谷口吉郎氏)という、芸術家の家系に生まれた杉山さん。料理を作る際、「五感で味わうこと」を意識しているといいます。 杉山さん:味はもちろん、見た目の美しさにはこだわりますね。香りや音、肌感など場の空気も大事。同じ料理でも、東京で食べるのと、こうやって食べるのとでは、全然違います。仕上げの調味料は、この空気と楽しい会話なんですよ。 ──次々と運ばれてくる杉山さんの料理はどれもとても華やか。置かれるや否や歓声が上がり、一瞬でなくなっていくそう。 杉山さん:ここは居心地が良すぎます。お昼に食事会をして、話していたら日が暮れて、夜もここで飲み会したこともありましたよね? 藤原さん:あった! 何の話したか全く覚えていないけど(笑) 杉山さん:夫と十紀人さんはバイク、車とお洋服の話。私と美智子さんは……何の話をしましたっけ? ──気取らずに友と過ごす穏やかな時間。下田での暮らしはこうして紡がれていくのでした。 ◆藤原美智子 ビューティ・ライフスタイルデザイナー、MICHIKO.LIFE プロデューサー、信州大学特任教授。1958年生まれ。1980年に美容学校卒業後、松永タカコ氏に師事し、82年に独立。美容の第一線で活躍中の1992年に事務所「ラ・ドンナ」を設立。受賞歴も多数。2017 年からはオリジナルブランド「MICHIKO.LIFE」を展開。2022年にヘアメイクアップアーティスト引退と、「ラ・ドンナ」の解散を発表し、現職に。@michiko.life ◆杉山絵美 料理家、ライフスタイルプロデューサー。大学卒業後、 渡英。フラワーアレンジメントやエンターテイニング、クッキングなどを学ぶ。帰国後はクリスチャン ディオールの広報職を経てPRエージェンシーを設立。その後、現職に。Oisixの商品開発をはじめ幅広く食のプロデュースを行う。『VOGUE JAPAN』『エスクァイア』など多数のファッションメディアで連載。著書は『おうちで作るセレブごはん』(中央公論新社)。また二冊目のレシピ本が宝島社より2025年春に出版予定。料理動画『GOOD FOODSUNDAY』をYouTubeで配信中。 構成・文/坂口みずき 『reShine冬号』では、飯島直子さんが表紙を務め、映える&効きめがある&気分が上がるおしゃれ・美容・趣味・暮らしの実例やヒントを紹介。林真理子さんのエッセイの他、特集記事「美しい人のマイルール」では、黒田知永子さん、松本孝美さん、岩井ヨシエさんほか、大人世代の人気モデルたちが、今の年齢だから楽しめるおしゃれのヒントを紹介している。 ※『reShine』2024年冬号