川上麻衣子さん流「50代からの浴衣」術。背筋が伸び、白髪混じりの髪にもよく似合う
一般社団法人「ねこと今日」の理事長を務め、愛猫家としても知られる女優・川上麻衣子さん(58歳)。猫との暮らしや出生の地であるスウェーデンで学んだこと、50代以降に感じる思い、暮らしの知恵などを発信し人気です。今回は、年齢を重ねて高まる着物への思い、そして「大人の浴衣の着こなしテク」について詳しく語ります。 【写真】時代劇ですてきに着物を着こなす川上麻衣子さん
年を重ねたからこそ着物や浴衣を着たい
ここのところ、着物を着る機会が一段と増えました。それなりの年齢になったからこそのことだと実感しています。 結婚式やとくに形式ばったお披露目の場ではないところで、さりげなく着物を着こなせるのがなんといっても憧れです。そのためにはなにはともあれ、「自分で着物を着る」ことができなければ始まりません。 私の場合、人の手を借りずに着られるようになったのは30代になった頃だったと記憶しています。女優という職業柄、時代劇や、舞台などで着物を着る機会は多いのですが意外と自分で着るというのはハードルが高いものです。 逆にいうと、女優だからこそ、ベテランの着付け師さんが見事に着せてくれることもあって、自分では着られない人も珍しくはありません。しかも芝居の世界の着物は、特別な着こなしが多いのも特徴です。まして、背中の帯がどう結ばれているかなど知る余地もありません。
着付け教室に飛び込んではみたものの…
かくいう私自身も、10代の頃から時代劇で、町娘を演じることは多く、当時は怖いと言われていた京都の撮影所で「麻衣子ちゃんはお姫さんだから、なーんにもでけへんのやなぁー」なんて言われて肩身が狭ーい思いをしたものです。 そんな嫌味が早いうちから突き刺さっていましたから、自分で着物を着られるようになることは、大人の女になるための必須の条件としていつも頭にありました。 しかしそうはいっても、なかなかに道のりは長いものであったのも事実です。飛び入りで着付け教室に入ったりもしましたが、教室によっては、独自に開発した襦袢(じゅばん)などそろえるだけで、結局活用できずに無駄にしてしまったものもあります。 今思うと、着物初心者の頃に必要だったのは「頭で理解してから着る」派なのか、あるいは、「手で覚えてから理解する」派なのか。自分がそのどちらに属しているかを考えると、着物の世界に入りやすかったのかもしれません。