他人事ではない「水原一平騒動」に経営者が学ぶ事 問題点はチーム大谷のガバナンス欠落にある
私が見てきた事例の1つに、上場会社の経営陣が英語が堪能なプロパー社員の言うままに、現地企業との共同経営に乗り出したという話があります。 投資前とは打って変わって、いつまでも上がらない売り上げ、累積赤字だけが積み上がっていきました。 本来であれば全体的なプロジェクトとリスクを検証すべきところを、このプロパー社員は小さなプロジェクトをあえて複数作り、それぞれに別の会計担当と弁護士を雇うことによって、全体のリスクの把握を難しくしていました。
私が顧問弁護士として、全体的なリスクの把握と株主である親会社による監査を助言したところ、そんな必要はないし、その社員は別の弁護士を使うと言い出す始末。結果、数十億円の損失が出ました。 ■問題を乗り越えるために必要なカギ チーム大谷が問題を乗り越えて再生していくためには、大手に丸投げをせずに、中身を見て判断する姿勢、No! と言ってくれる、経験豊富なプロフェッショナルの確保、言葉や情報で分断をさせない相互監視体制の構築などが必要だと考えます。それは、日本の企業の経営者にも言えることです。
そして新体制の中心には、野球だけに集中したい大谷選手をCOOとして支えていく真美子夫人がいるとよいのではないでしょうか。目先の利益ではなく、長期の幸せを目標に、チーム大谷2.0が確立されたとき、大谷選手の真の躍進が始まるかもしれません。
吉田 大 :ブラックベルトリーガル弁護士法人