【府中便り】「2つの競馬の大陸をつないだ結晶」オーギュストロダンの子どもをJCで見たい!
ドウデュースが勝利した今年のジャパンC。着差は違えど、直線の抜け出し方を見て、06年ディープインパクトが勝った時のレースを思い出したのは私だけでしょうか。 このレースがラストランとなったオーギュストロダン。4コーナーでドウデュースに並びかけられて交わされた際に、オブライエン師は「武豊騎手に感銘を受けた」とレース後に明かしました。 週中は美浦トレセンの担当で、東京競馬場へ取材に行く機会がなかったので、オーギュストロダンの引退お披露目式へ。先輩記者たちに頼み、ウイナーズサークルに向かいました。 こんな機会は2度とないと思って、どうしても一目見たくて…。 引退お披露目式では、日本の競馬ファン1万5000人が残りました。日本が産んだ近代競馬の結晶、ディープインパクトのラストクロップであり、欧州のG1を6勝。歴史的名馬の一頭を間近で見られたのは本当に光栄です。 黒い馬体が、暗くなった東京競馬場の照明を浴び、美しく輝いていました。 関係者から、馬主代表のポール・スミス、MV・マグニア氏、トム・マグニア氏、エイダン・オブライエン調教師、ライアン・ムーア騎手が登壇。 それぞれ愛馬に対する思いを話してくれました。 一番印象に残ったのが、MV(マイケル・ヴィンセント)・マグニア氏のコメントでした。現役時はフィリーズマイル、オペラ賞、ロッキンジSを制し、英1000ギニーと英オークスで2着に好走した繁殖牝馬ロードデンドロン。その父ガリレオは欧州が誇る大種牡馬。所有するクールモアが彼女を日本にいるディープインパクトと交配させ、誕生したのがオーギュストロダンでした。「こういう配合を実現してくれたノーザンファーム、社台スタリオンステーションの関係者の皆さまに感謝いたします。そして結果として、こういう子どもができ、現役を終えてこの場にいられることも本当に感謝しています」と気持ちを述べました。 そして同氏は「2つの競馬の大陸が結びついた結晶が、オーギュストロダンなんです」と締めくくった。 欧州と日本。世界トップの馬産を誇り、それらを代表する大種牡馬の血が流れるオーギュストロダンは、ここまでの活躍が宿命だったと思わされました。そして、この先もその血を残し、ディープインパクトの血を世界中へつないでいくこともまた、宿命です。 ラストランの結果は残念でしたが、この先きっと良い子どもが生まれてくると思います。産駒がジャパンCに父のリベンジを果たしに来る日を信じて-。【深田雄智】