2035年、南海トラフと首都直下地震が同時に起こる?生物学者「人類は地球よりてめえの心配しろ」
近いうちに南海トラフ巨大地震や首都直下地震が起こるのでは、と盛んに言われている。今後起こるであろう災害を、専門家はどのように考えているのか。そして、近年注目されているAIは、気候変動や災害など地球の未来を予測できるのか?生物学者の池田清彦氏が解説する。※本稿は、池田清彦(著)、南 伸坊(著)『老後は上機嫌』(ちくま新書、筑摩書房)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● AIに未来を予測させてみたら その結果がひどかった 南伸坊(以下、南) 最近、AIが絵を描くとかいって、言葉で入力すると、それをAIが在り物のいろんなソースをあれこれ貼っ付けて作るんですよ。だけど、できた絵は絶対、面白くないはずです。コンピューターは、これでいいんですねって、言われた通りのことしかやんないから。コンピューター本人はぜんぜん面白がって描いてないですからね。 将棋や囲碁とかのゲームの面白さっていうのも、頭の良さを競ってるつもりだったんだけど、そうじゃなかったんじゃないかな。対戦してる人同士の一種のキャッチボールみたいなことが、本当は面白かったんじゃないのかな。優秀な人が集まって、みんな優秀な中での面白さってなると、勝つことだろうけど。勝つのは気持ちいいから。 池田清彦(以下、池田) ゲームは勝つか負けるか、決まっちゃうからね。たまに引き分けもあるけど。芸術は勝つか負けるかは決まんないから、面白いというのがあっても別にいいわけだよね。 南 見ている人が、面白いと思うかどうかは人それぞれか。
池田 僕は、正解がないほうが面白いと思うけどね。正解があるものって、何となくつまらない。ただ、AIも万能じゃない。正解が出せないものがあるんだよ。それは厳密に未来を予測すること。AIは囲碁や将棋みたいに、ルールが決まってるものは得意だけど、世の中ってゲームみたいにルールが決まってないし、未来に何が起こるかも分かんないから、AIに未来を予測させると、大体おかしなことになる。 一番駄目だったのが、未来の気温を予測するコンピューターシミュレーション。1990年代あたりに、2020年の気温がどのぐらい上がるかってコンピューターで計算して、いろんな数値が予測されたんだけど、ほとんどが外れたね。 南 コンピューターは何を根拠に、その結論出したんだろう。 池田 入力するファクターとしてCO2(二酸化炭素)以外分からなかったから、それだけ入れたんだね。CO2が当時のスピードで増加すれば、将来どのぐらいの濃度になるかって分かる。でも、それ以外のファクターは分からないから入れなかった。だから、駄目だったんだよ。