ブラックロック、プライベートクレジットHPS買収交渉進展-関係者
(ブルームバーグ): 世界最大の資産運用会社、米ブラックロックがプライベートクレジット企業HPSインベストメント・パートナーズの買収に向けて交渉し、協議が進展した段階にある。事情に詳しい関係者が明らかにした。急拡大するプライベートクレジット業界での競争を探るブラックロックが、HPSとの積極的な交渉を進める唯一の買収候補者として浮上した。
部外秘の情報だとして匿名を条件に話した関係者によると、両社は年内の合意実現を目指している。評価額で一致できなかった場合、HPSが新規株式公開(IPO)や少数株の売却を選択する可能性もあると、一部の関係者は述べた。
関係者によれば、HPSはIPO後の評価額として110億ドル(約1兆6900億円)を目指しており、身売りの場合はこれを上回るプレミアムを求める方向だ。取引が成立すれば、第3四半期末時点で11兆5000億ドルを運用するブラックロックは5000億ドル超のオルタナティブ資産を保有することになる。
関係者の一部によると、交渉は進展しているが、まだ合意には至っておらず、物別れに終わる可能性もある。ブラックロックはコメントを控え、HPSはコメント要請にすぐには応じなかった。
需要拡大
ラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)はプライベート市場で事業拡大を積極的に進めており、HPSを買収すれば、10カ月近くの間にオルタナティブ資産運用会社の大型買収を2件実現することになる。ブラックロックは年金や保険会社、政府系ファンド(SWF)、個人富裕層がますます求めているプライベート資産でも、株式・債券市場と同じく圧倒的な規模を実現しようとしている。
ブラックロックは125億ドル規模のグローバル・インフラストラクチャー・パートナーズ買収を数週間前に完了し、インフラ資産運用会社として2位に躍り出ている。
1000億ドル余りを運用するHPSは、急成長するプライベートクレジット市場で最大級の独立系運用会社。同市場の規模は1兆7000億ドルとされるが、より広範な資産を網羅しているとして、20兆-40兆ドルまで拡大し得るとみる向きもある。