日本最速争いは混沌からサニブラウン”1強時代”へ突入するのか!?
100mでは、200mをメイン種目とする小池が3位、飯塚翔太(ミズノ)が4位に入った。サニブラウンとのタイム差は小池が0秒17、飯塚が0秒22だった。200mの自己ベストはサニブラウンが20秒08(日本歴代2位)、飯塚が20秒11(日本歴代3位)、小池が20秒23(日本歴代8位)となるが、100mの走りを見る限り、200mでもサニブラウンが圧勝する予感が漂っている。 200mで2年連続4回目の優勝を目指す飯塚は、「今日のコンディションで10秒02ですから、やっぱり強いですよね」とライバルとなるサニブラウンの速さに驚いていた。そして、「この時代にレースができて有難いですよ。観てくれる人は増えていますし、選手紹介では、子供たちが、ワーッと騒いでくれる。サニブラウン君らの活躍に、選手たちは皆、刺激をもらっています。短距離のレベルが上がっているのは、こういう空気があるからこそだと思いますね」と話す。桐生もサニブラウンと同じレースを走り、「すごく楽しい」と表現していた。 現地で取材して感じるのは、サニブラウンがまとう”王者のオーラ”が強くなっていることだ。これだけのパフォーマンスを発揮しても、本人は決して満足していない。彼が見ている景色は、これまでの日本人スプリンターとは別次元だからだ。 「自分のやってきたことを試合で出さないと、男子100mは通用しません。世界にはまだまだ化け物みたいな選手がいるので、今のままでは全然ダメだと思っています。今日の課題を持ち帰り、万全な態勢で、ドーハ世界選手権に臨みたい。しっかりファイナルに残って、メダルを狙えるところまで練習を積んでいければと思っています」 日本選手権の男子100m決勝に進出した8人のなかでサニブラウンは最年少の20歳。今後はこの”差”がどんどん広がっていくことが予想される。サニブラウンを楽しませるためにも、他のスプリンターがもっと強くなることを期待せずにはいられない。 (文責・酒井政人/スポーツライター)